平成26年度 1級舗装施工管理技術者資格試験  一般 試験問題(1/3)

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【問 1】 盛土の排水施設に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 表面排水工は、盛土の安定性を確保するために水平排水層を設け、表面水を排水できるような構造としなければならない。
 (2) のり面排水工は、のり面を流下する表面水によるのり面の浸食および洗掘を防ぎ、盛土内への浸透を低減ができるような構造としなければならない。
 (3) 路床、路盤の排水施設は、道路隣接地から路床などに浸透する水をしゃ断し、路床、路盤を良好に維持するような構造としなければならない。
 (4) 基礎地盤の排水は、盛土の安定性を確保するために、土質調査などの結果により、その性状、分布などを把握し、適切な排水対策を講じなければならない。

解答と解説: 

解答--- (1)
【解説】盛土の排水施設には、下図左に示すように、のり面排水施設、構造物裏込め部排水施設、地下排水施設、表面排水施設などがある。(道路土工要綱(排水)参照)
 水平排水層は、下図右に示すように、盛土内部に浸透した水を誘導し排除するもので、表面水は小段排水溝や側溝で排除する。(道路土工−盛土工指針(表面排水工)参照)
排水の種類

【問 2】 擁壁に用いられる次の軽量材のうち、自立性や自硬性がなくコンクリート擁壁などの裏込め材として用いられるものはどれか。
 (1) 単位体積重量12kN/?の気泡混合軽量土
 (2) 単位体積重量0.4kN/?の発泡ウレタン
 (3) 単位体積重量7kN/?の発泡ビーズ混合軽量土
 (4) 単位体積重量0.3kN/?の発泡スチロールブロック

解答と解説: 

解答--- (3)
【解説】軽量材を用いた擁壁とは、裏込め材料に自立性や自硬性を有する軽量材を用いて土圧の軽減を図ることで、擁壁材を簡略化し、壁面材と軽量材が一体で擁壁として機能を発揮するものをいう。具体的な適用例として用地制約等がある道路拡幅、地すべり地における荷重軽減策、軟弱地盤における沈下、側方変形対策、急傾斜地形における切り盛り土量の削減や荷重軽減策などがあるが、一部を下図に示す。
軽量骨材使用擁壁例

なお、主な軽量材の種類と単位体積重量、特徴等を下表に示す。(解答は下線部)      
 軽量骨材の特徴

【問 3】 もたれ式擁壁に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) もたれ式擁壁は、基礎地盤のみに支持された構造体として、擁壁自体の安定性の照査を行うものとする。
 (2) もたれ式擁壁は、基礎地盤が良好で、擁壁背面が比較的安定した地山や切土部に適用できる。
 (3) もたれ式擁壁の躯体は、照査断面位置を固定端とする片持ばりとして設計してよい。
 (4) もたれ式擁壁のつま先版は、躯体との接合部を固定端とする片持ばりとして設計してよい。

解答と解説: 

解答--- (1)
【解説】もたれ式擁壁は、下図に示すように基礎地盤が良好で、かつ擁壁背面が比較的安定した地山や切り土部に採用されるコンクリート擁壁である。擁壁自体は、基礎地盤と背面地盤に支持された構造体である。安定に対する照査は,重力式擁壁等と同様、滑動、転倒、支持についておこなう。
もたれ式擁壁

 また、部材(躯体)の安全性(強度)は、図中A―A断面を照査断面位置(強度が担保されるかどうかをチェックする場所)とした場合、A−A断面位置を固定端とした片持ばりとして設計する。左図のようなつま先版は、躯体の接合部を固定端とする片持ちばりとして設計する。(道路土工−擁壁工指針(もたれ式擁壁)参照)

【問 4】 土工用建設機械に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 土の運搬において、近距離運搬はブルドーザが使用され、中長距離運搬ではダンプトラックが使用されることが多い。
 (2) タイヤローラは、岩塊などで容易に細粒化しない材料に適している。
 (3) トラフィカビリティは、建設機械の走行性の良否を示す地面の能力の指標で、使用する建設機械によってこの数値は異なる。
 (4) 一般にリッパによって作業ができる程度をリッパビリティといい、地山の弾性波速度が1つの目安とさ.れている。

解答と解説: 

解答--- (2)
【解説】締固め作業に用いる建設機械としては、ロードローラ、タイヤローラ、タンピングローラ、振動ローラ、振動コンパクタ、タンパ、ブルドーザなどがある。これらの機械は、締固めの対象とする土質、規模に応じて機種を選定する。盛土路体及び路床の締固めでは、土質区分に応じて、下表に準じて選定する。(道路土工−盛土工指針(締固め作業及び締固め機械))
土質と転圧機械


【問 5】 街路樹の剪定定に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 高木の剪定は、冬期に主枝を対象とした強度の剪定を行い、夏期は軽度の剪定にとどめるか避けた方がよい。
 (2) 常緑広葉樹の生垣の刈込み勢定は、新芽の伸長が一旦停止する6月頃および土用芽の伸長が停止する9月頃に行うとよい。
 (3) 切返剪定とは、古い枝を切除する方法であり、長い枝の途中から分岐した短い枝を残し、その枝の付け根から切除する剪定方法である。
 (4) 切詰勢定とは、街路樹の下枝などの大きな枝を幹の付け根から切除する剪定方法である。

解答と解説: 

解答--- (4)
【解説】(1)、(2)は樹木の剪定時期の説明であるが、剪定時期は樹木の種類によって異なる。落葉樹の剪定は、木が休眠している落葉期間に行うのが基本であり、一般に12月〜2月に行う。4月〜5月上旬の春及び夏時期には樹液の滑道が活発で,樹液が流れ出てダメージを与え,更に夏季は枝の幹に強い光が当たり,木が弱るので、原則として剪定は行わない。設問にある「強度の剪定」は「強い剪定」、「軽度の剪定」は「弱い剪定」の意味であるとも思われるが、「強い剪定」は枝を深く切る剪定であるが、そうすると元に戻ろうとする木の力がでて、切った場所から勢いのある強い枝がたくさん出てくる性質があるので、その辺を考慮して剪定を行う。
常緑樹を剪定する時期は、3月下旬〜4月下旬の新芽が出る前、5月下旬〜6月の新芽の後、新葉が落ち着いた生育期が剪定の適期である。9月〜10月は軽い剪定なら可能。11月〜2月は、常緑樹は寒さに弱いので剪定は原則禁止。但し、寒さに強い針葉樹は、冬にも剪定可能。
 常緑樹と落葉樹での剪定最適期等の比較を図に示す。
剪定時期

 以上のことから、設問(1)にある様に「高木」と言うくくりでの剪定時期の表現は、(4)と比べると「不適当」とまでは言えないが、的を得ていない設問といえる。 (3)、(4)は剪定方法の用語の説明である。剪定の種類には、整姿剪定、切り詰め剪定、枝下ろし剪定、切り戻し剪定(切り返し剪定)など、さらに使う道具により吊り仕切り剪定、野透かし剪定など職人(庭師)用語としての呼称は10種類以上有り、さらに強い剪定、中程度の剪定、弱い剪定などに分類される。設問(3)の「切返し剪定」(切戻し剪定)とは、毎年剪定を行う前提で、前年度剪定した部分まで切り戻す、と言う意味である。茂り具合を考慮しながら樹冠を一回り小さくし、自然な枝ぶりを残したまま樹冠を小さくしたり、作り直したりできる。(4)は「枝下ろし剪定」の説明で、枝が混んできて、細かい枝葉が交錯するようになった時や、移植時の根の切断によってバランスが崩れないように不要な大枝を付け根から切り取る作業のことで、「強い剪定」になる。「切詰め剪定」とは、育ちすぎた樹形を縮める為や、わざと太い徒長枝を出させて花つきをよくする為に行う剪定で、新しい枝(一般には前年に伸長した枝)を切り詰める剪定方法で、「強い剪定」になる。なお、これらは植木職人(庭師)用語であり、施工管理試験の出されるべき問題か、疑問が残る。

【問 6】 「公共工事標準請負契約約款」の内容に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
 (1) 受注者は、工事の施工に当たり、設計図書と工事現場の状態が一致しないときは、受注者の判断により現場の状況に合わせて工事目的物を施工する。
 (2) 仮設、施工方法その他工事目的物を完成するために必要な一切の手段については、約款および契約の特別の定めがある場合を除き、受注者がその責任において定める。
 (3) 工事目的物の引き渡し前に、工事目的物又は工事材料について生じた損害その他工事の施工に関して生じた損害については、受注者がその費用を負担する。
 (4) 受注者は、天候の不良など受注者の責めに帰すことができない事由により工期内に工事を完成することができないときは、その理由を明示した書面により、発注者に工期の延長変更を請求することができる。

解答と解説: 

解答--- (1)
【解説】「公共工事標準請負契約約款」第18条(条件変更等)
  乙は、工事の施工に当たり、次の各号の一に該当する事実を発見したときは、その旨を直ちに監督員に通知し、その確認を請求しなければならない。
一 図面、仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書が一致しないこと (これらの優先順位が定められている場合を除く。)
二 設計図書に誤謬又は脱漏があること
三 設計図書の表示が明確でないこと
四 工事現場の形状、地質、湧水等の状態、施工上の制約等設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しないこと
五 設計図書で明示されていない施工条件について予期することのできない特別な状態が生じたこと

【問 7】 契約図書に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
 (1) 工事材料の品質は、設計図書に定めるところによるが、設計図書にその品質が明示されていない場合は、中等の品質を有するものとする。
 (2) 受注者は、工事の施工部分が設計図書に適合しない場合において、監督員がその改造を請求したときは、当該請求に従わなければならない。
 (3) 受注者は、必要があると認めるときは、自ら設計図書の変更を行った上で発注者に通知しなければならない。
 (4) 設計図書とは、工事目的物の形状などを示す図面、仕様書、現場説明書および現場説明に対する質問回答書を含むものである。

解答と解説: 

解答--- (3)
【解説】「公共工事標準請負契約約款」第19条(設計図書の変更)
  甲は、必要があると認めるときは、設計図書の変更内容を乙に通知して、設計図書を変更することができる。この場合において、甲は、必要があると認められるときは工期若しくは請負代金額を変更し、又は乙に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。

【問 8】 路線測量に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 縦断測量は、中心杭高および中心線上の地形変化点の地盤高や主要な構造物の標高を求めるものである。
 (2) 横断測量は、中心杭などを基準にして、中心線の接線に対して直角方向にある地形の変化点および地物について、中心点からの距離および地盤高を測定するものである。
 (3) 仮BM設置測量は、縦断測量および横断測量に必要な水準点を現地に設置し、標高を求めるものである。
 (4) 中心線測量は、路線選定の結果にもとづき、地形図上のIPの位置を座標として定めるものである。

解答と解説: 

解答--- (4)
【解説】測量については、測量法の規定に基づく「作業規定の準則」で、公共測量における標準的な作業方法が定められている。
  「作業規定の準則」第4節中心線測量 第352条(要旨) “「中心線測量」とは、主要点及び中心点を現地に設置し、線形地形図データファイルを作成する作業をいう。”なお、IPの設定は、第3節 線形決定第349条で、“「線形決定」とは、路線選定の結果に基づき、地形図上の交点(以下「IP」という。)の位置を座標として定め、線形図データファイルを作成する作業をいう。”と規定されている。従って、(4)は線形決定の説明である。

【問 9】 歩道および自転車道における舗装の設計に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 占用企業者による掘り返しがある場合には、補修が困難なコンクリート平板やインターロッキングブロック舗装は適していない。
 (2) 車両乗り入れのある箇所は、想定される最大荷重により構造設計を行い、乗り入れのない箇所では経験および施工性で決められた構造とすることが多い。
 (3) 車道との取付けによる段差や勾配、電柱や標識柱などの位置が障害とならないように、車道と同時に設計することを心がける。
 (4) 雨水の地中への還元や流出量の低減の面から、都市内では開粒度アスファルト混合物を用いた透水性舗装とする場合が多い。

解答と解説: 

解答--- (1)
【解説】歩道および自転車道に用いられるブロック系舗装には、コンクリート平板舗装やインターロッキングブロック舗装がある。コンクリート平板舗装の特長として、耐油性、明色性、簡易な舗装構造および補修の容易性などがあり、占用企業者による掘り返しがある場合にも適している。(舗装設計施工指針−5-3-5舗装工法と材料の検討(4)ブロック舗装参照)

【問 10】アスファルト舗装の設計条件に関する次の記述のうち、不適当なもの次のうちどれか。
 (1) 疲労破壊輪数は、両側の車輪通過位置の全延長にわたり連続してそれぞれ一本のひび割れが生じるまでに要する、輪荷重の繰返し回数で定められる指標である。
 (2) 塑性変形輪数は、交通状況や材料種別が異なる交差点部や排水性舗装区間を除く、単路部でのわだち掘れの発生しにくさを示す指標である。
 (3) 舗装の設計期聞は一律でなく、当該舗装の施工および管理にかかる費用、交通や沿道の状況、路上工事の計画などを総合的に勘案して、道路管理者が定める。
 (4) 設計に用いる大型自動車の方向別の日交通量は、当該道路の計画交通量、地域の発展動向、将来の自動車交通の状況などを勘案して、道路管理者が定める。

解答と解説: 

解答--- (2)
【解説】塑性変形輪数は、わだち掘れの出来にくさを示す指標であり、単路部でも、交差点でも,排水性舗装区間でも、同様の路面サービスを提供する場所では同様の値となるものである。(舗装の構造に関する技術基準・同解説2-5 1. (2)塑性変形輪数 解説)

【問 11】 TA法でアスファルト舗装の構造設計を行う場合の次の設計断面のうち、等値換算厚TA’として適当なものは次のうちどれか。等値換算係数aは、粒度調整砕石:0.35、クラッシャラン:0.25とする。
表層基層 加熱アスファルト混合物   20cm
上層路盤 粒度調整砕石         30cm
下層路盤 クラッシャラン         45cm
路床   現地盤 CBR=6        100cm
 (1) 21.8cm
 (2) 47.8cm
 (3) 95.0cm
 (4) 41.8cm

解答と解説: 

解答--- (4)
【解説】TA’=Σai・hi  式に代入して;20cm×1.0+30cm×0.35+45cm×0.25=41.75≒41.8cm
      (舗装設計便覧5-2-1普通道路の構造設計(3)構造設計2)舗装構成の決定)

【問 12】 セメントコンクリート舗装のコンクリート版厚の設定に、必要としないものは次のうちどれか。
 (1) 鉄網と鉄筋の強度
 (2) コンクリートの設計基準曲げ強度
 (3) 輪荷重によってコンクリート版に発生する応力
 (4) 温度変化によってコンクリート版に発生する応力

解答と解説: 

解答--- (1)
【解説】コンクリート舗装は、路盤の上にコンクリート版を施工した構造である。温度や湿度などによるコンクリートの膨張・収縮を吸収する目的で適当な間隔に目地が設けられる。コンクリート舗装の構造設計では、設計期間内にコンクリート版にひび割れや路面の凹凸が発生しないように路盤の構成、目地配置、コンクリート版の厚さを決定する。
 コンクリート版にひび割れが発生するかどうかを確認するためには、コンクリート版に発生する応力を計算する必要がある。コンクリート版に発生する応力には、輪荷重応力と温度応力がある。輪荷重応力は、車両のタイヤがコンクリート版に載ることによってコンクリート坂内に生じる曲げ応力である。温度応力は、コンクリート版の上下面に温度差が生じるために発生する応力である。コンクリート舗装にはその供用期間中に輪荷重応力と温度応力が同時に何回も繰り返し作用する。これらの応力がコンクリートの強度に比べ小さな応力であっても、数多く繰り返されるとコンクリートにひび割れが発生する。これを疲労破壊と言うが、設計期間中にどの程度の回数で疲労破壊が起こるかを、基準以内に抑えるためにコンクリートの強度、版厚を設計する。即ち、コンクリート版厚は、交通条件として設定した舗装計画交通量に応じ、コンクリート舗装の種類と使用する舗装用コンクリートの設計基準曲げ強度を元に設定する。(コンクリート舗装に関する技術資料−抜粋)

【問 13】 各種の舗装に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) フルデプスアスファルト舗装は、路床上のすべての層に加熱アスファルト混合物および瀝青安定処理路盤材料を用いた舗装で、舗装全体の厚さを薄くすることができる。
 (2) 連続鉄筋コンクリート舗装は、コンクリート版に生じる横ひび割れを縦方向鉄筋によって分散させ、個々のひび割れ幅を小さく抑制する舗装である。
 (3) フォームドアスファルト舗装は、加熱したアスファルトを水などを用いて泡状にしてミキサー内に噴射し、流込みにより施工する舗装である。
 (4) ポーラスコンクリート舗装は、特殊な混和材料を使用するなどして高い空隙率を確保したコンクリートを用いる舗装である。

解答と解説: 

解答--- (3)
【解説】フォームドアスファルト舗装は、加熱アスファルト混合物を製造する際に、加熱したアスファルトを泡状(フォームド状)にし、容積を増大させると共に粘度を下げ、混合性を高めて製造した加熱アスファルト混合物を用いる舗装である。施工方法は、一般の加熱アスファルト混合物と同様の方法によるが、この混合物の特性を生かした配合の場合、特性に合わせた施工方法を採用する場合がある。例えばフィラー分を多量に混合したマスチック系の混合物とした場合は、仕上げ転圧時にフラッシュが発生しないような温度管理を、事前に試験施工で確認してから行う。
 又、製造方法により泡の大きさが異なるので、粘度もさることながら、混合物の温度の降下速度も異なることから、製造されたフォームドアスファルト混合物に合った施工速度を見つけてから施工することが重要である。フォームド化により、粘度を下げることが出来ても、現段階では設問にあるような流込みの施工方法は不可能である。流込みの施工方法は、グースアスファルト混合物の施工方法である。(舗装施工便覧9-4-4フォームドアスファルト舗装)

【問 14】 加熱アスファルト混合物に用いる骨材に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 目視では判断できない微細なひび割れを有する砕石は、硫酸ナトリウムによる安定性試験結果より損失量が12%以下であれば表層用混合物に使用することができる。
 (2) 玉石または砂利を砕いた玉砕は、ポーラスアスファルト混合物に使用してはならない。
 (3) 3ヶ月以上のエージングを行い水浸膨張比が規格値以下になった単粒度製鋼スラグは、ポーラスアスファルト混合物に使用することができる。
 (4) 加熱することですり減り減量が大きくなる花崗岩や頁岩は、表層用混合物に使用してはならない。

解答と解説: 

解答--- (2)
【解説】 玉砕は、玉石又は砂利を砕いたもので、4.75mmふるいにとどまるもののうち、質量で40%以上が少なくとも1つの破砕面を持つものを用いる。これは、玉石や砂利は表面に丸味があり、舗装用の骨材としては安定しない傾向があること、内部に風化した部分が含まれているケースがあり、また、水により剥離することもあることから、ある程度破砕することで風化した部分を排除できると考えられている。特にポーラスアスファルト混合物に使用する場合には、所定の空隙率を確保することが困難となることがあるので、出来るだけ多くの破砕面を持つものを使用する。(舗装施工便覧3-3-2アスファルト表層・基層等用素材(3)骨材2)玉砕)

【問 15】 舗装に用いる瀝青材料に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。
 (1) 舗装用石油アスファルトは、軟化点で種類が分けられており、一般地域では主に60〜80を使用する。
 (2) プラントミックスタイプのポリマー改質アスファルトは、あらかじめ工場でアスファルトと改質材を均一に混合したもので、通常ローリー車で供給する。
 (3) 混合用の石油アスファルト乳剤は、主にシールコートやアーマーコートなどの表面処理に使用される。
 (4) トリニダットレイクアスファルトを使用した硬質アスファルトは、主に鋼床版上の舗装の基層用材料に使用される。

解答と解説: 

解答--- (4)
【解説】(1)舗装用石油アスファルトは針入度でその種類を分類している。従って60〜80は軟化点ではなく針入度である。(2)ポリマー改質アスファルトには、プラントミックスタイプとプレミックスタイプがある。プレミックスタイプは、あらかじめ改質アスファルトブレンド工場でアスファルトと改質剤を均一に混合したもので、通常ローリーでアスファルトプラント(混合所)に供給される。この場合、専用の改質アスファルトタンクを用意しておく必要がある。プラントミックスタイプは、アスファルトプラントでアスファルト混合物を製造するときに、ミキサーの中に直接改質剤を液状あるいは粉末状の形で、添加・混合して使用するものである。(3)石油アスファルト乳剤は、大別すると浸透用乳剤、混合用乳剤およびセメント混合用乳剤がある。浸透用乳剤は、シールコートやアーマーコートなどの表面処理や,プライムコートあるいはタックコートに使用される。混合用乳剤は常温混合物に使用される。セメント混合用乳剤はセメント・瀝青安定処理工法に使用される。(舗装施工便覧3-3-2合うファルト表層・基層等用素材(1)瀝青材料1)〜4)、9-4-2グースアスファルト舗装)

【問 16】 アスファルト舗装の上層路盤材料に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 加熱アスファルト安定処理工法において、最大粒径30mmの骨材を使用することとしたので、一層の仕上がり厚を8cmとした。
 (2) 修正CBRが30%、PI(塑性指数)が15の地域産材料を石灰安定処理工法で使用した。
 (3) 修正CBRが30%、PI(塑性指数)が5の粒度調整砕石を粒度調整工法で使用した。
 (4) 粒度調整工法において、最大粒径40mmの骨材を使用することとしたので、一層の仕上がり厚を10cmとした。

解答と解説: 

解答--- (3)
【解説】上層路盤に使用する粒状材料の修正CBRは80%以上、粒度調整工法に使用する粒度調整砕石のPIは4以下と規定されている。上層路盤材料として鉄鋼スラグを使用する場合は、鉄鋼スラグの水浸膨張比1.5%以下と規定されている。(舗装施工便覧5-3-1工法の種類(1)上層路盤の品質)

【問 17】 加熱アスファルト混合物の各種対策に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。
 (1) 剥離防止対策として、フィラーの一部を消石灰やセメントに置き換えることがある。
 (2) 流動対策として、骨材合成粒度の2.36mmと75μmのふるい通過質量百分率を粒度範囲の上限値側にすることがある。
 (3) 流動対策として、配合設計で得られたアスファルト量の共通範囲の上限値をアスファルト量とすることがある。
 (4) 剥離防止対策として、配合設計で得られたアスファルト量の共通範囲の下限値をアスファルト量とすることがある。

解答と解説: 

解答--- (1)
【解説】(2)粒度範囲から混合物の特性を決めるには、規定の粒度範囲の上方側の粒度は粒度が細かくなり、下方側は粗くなる。従って,流動対策には粒度は粗い方が効果的なので、中央から下限側で設定する。(3)アスファルト混合物の流動は、アスファルトが軟らかい程また多いほど起こり易いが、アスファルト量の面からは共通範囲の中央値かそれよりも少し少なめに設定した方が、一般に効果的である。なお、少なすぎると剥離その他の破損の原因となることがあるので、他の物性も合わせて確認する。(4)アスファルト量は多いほど剥離しにくいので、アスファルト量で剥離対策を検討する場合は、共通範囲の上限側をアスファルト量とすることを検討する。(舗装施工便覧6-3-4加熱アスファルト混合物に対する特別な対策(1)重交通道路における耐流動対策(3)剥離防止対策)

【問 18】 ポーラスアスファルト混合物の配合設計に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 試し突きより得られた空隙率と2.36mrnふるい通過質量百分率の関係図より、目標空隙率となる骨材配合比を求めた。
 (2) 交通量の多い箇所に適用する場合は、両面各75回の突固めで作製したマーシャル安定度試験用供試体により空隙率を求める。
 (3) ふるい通過質量百分率から算出した骨材表面積と仮定膜厚より、試し突き用の暫定アスファルト量を求める。
 (4) ダレ試験で求めた最大アスファルト量では、供試体作製時にアスファルトのにじみだしが観察されたので、カンタブロ試験を併用して最適アスファルト量を求めた。

解答と解説: 

解答--- (2)
【解説】マーシャル供試体の突固め回数は両面50回とする。(舗装施工便覧7-2-3配合設計の手順)
 一般の密粒度、粗粒度等のアスファルト混合物は、粗骨材、細骨材、フィラーが適度に組合わさって構成されている連続粒度の混合物であり、その強度や耐久性は粒度、締固め度などに依存する(よい粒度でしっかり締め固めれば強い舗装が出来る)が、ポーラスの場合は粗骨材同士が直接かみ合う構造で、マーシャル供試体作成時に衝撃荷重を集中させると粗骨材の破損に繋がることから、突固め回数は50回としている。混合物としての強度(せん断)はバインダーに大きく依存することから、専用の改質アスファルトや樹脂等を用いることとしている。

【問 19】 舗装用セメントコンクリートに用いる材料に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 良質な川砂利の入手が困難であったため、粗骨材として砕石を使用した。
 (2) 単位水量を変えずにワーカビリティーの改善を図る必要があったため、流動化剤を使用した。
 (3) 繊維補強コンクリートに、補強用のプラスチック繊維を使用した。
 (4) 交通開放を早める必要があったため、高炉セメントを使用した。

解答と解説: 

解答--- (4)
【解説】セメントは水と反応して硬化(水和反応)するが、その時体積が1%程度減少する。さらに水分の蒸発・散逸等により収縮が増大する。これらの体積収縮がコンクリートのひび割れの原因となる。さらにこの収縮量は、単位セメント量、コンクリートの硬化速度に比例して大きくなる。その為に十分な養生が必要となる。
 交通開放を早めるためには、出来るだけ早く硬化するために一般に早強ポルトランドセメントを使用するが、セメントは硬化速度が速いとそれだけ収縮量も大きく、さらに温度変化(水和熱)が短時間に大きくなり、温度クラック(セメントペーストと骨材の熱膨張係数の違いによる内部のひび割れ)の発生が懸念される。高炉セメントは硬化速度が遅いことから、ダムコンクリートのような大きな構造物に使用され、長期にわたる強度発現及びひび割れ抑制を期待する。(舗装施工便覧3-3-3コンクリート版用素材(1)〜(5))

【問 20】 各種の舗装に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 保水性舗装には、ポーラスアスファルト混合物の空隙に保水性を有する材料を充填したものがある。
 (2) 騒音低減機能を有する舗装には、小粒径の単粒の粗骨材を露出させたコンクリート版を表層に用いたものがある。
 (3) コンポジット舗装には、アスファルト混合物を用いた基層の上にポーラスコンクリートを舗設するものがある。
 (4) 遮熱性舗装には、アスファルト混合物に遮熱性材料を混合した材料を表層に用いたものがある。

解答と解説: 

解答--- (3)
【解説】コンポジット舗装は、「表層または表基層にアスファルト混合物を用い、直下の層にセメント系の版等(普通コンクリート版、連続コンクリート版、転圧コンクリート版)や半たわみ性混合物等を用いた舗装である。」と定義されている。なお、設問にあるような構造のものとして、アスファルト舗装の表層或いは表基層の一部を切削し、その上部に薄層のコンクリート版を敷設、一体化させたホワイトトッピング工法がある。(舗装施工便覧9章各種の舗装9-3-3騒音低減機能、9-3-8路面温度上昇抑制機能9-5-3コンポジット舗装)

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2級一般問題_問21〜問40
平成26年度 舗装施工管理技術者試験  応用試験 1級応用問題
2級応用問題