平成28年度 1級舗装施工管理技術者資格試験  一般 試験問題(1/3)

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【問 1】 のり面保護工に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 磯混じり土砂や風化した軟岩ののり面であっても、小規模な落石が発生するおそれがある場合には、植生工と併せて落石防止網や落石防止柵を設置する。
 (2) 岩盤以外ののり面で1:0.8より急な勾配の場合は、のり面の浸食や崩壊を防止するため、植生工と緑化基盤工を併用することが望ましい。
 (3) のり面勾配が軟岩や粘性土で 1:1. 0〜1.2 砂や砂質土で1・1.5より緩い場合は安定勾配とされるが、湧水や浸食が懸念される場合には簡易なのり枠工や柵工との併用が必要である。
 (4) 寒冷地域において、シルト分の多い土質ののり面で凍上や凍結融解作用が発生するおそれがある場合は、のり面をできるだけ緩くしたりのり面排水工を行うことが望ましい。

解答と解説: 

解答--- (2)

【解説】 のり面保護工の選定に当たっては、上記以外に以下の点にも留意する。
 @ 植物の生育に適したのり面勾配;一般に軟岩や粘性土で1:1.0〜1.2、砂や砂質土で1:1.5よりゆるい場合は植生工で対応、湧水や浸食が懸念される場合には簡易なのり枠工や柵工との併用が、安定勾配が確保出来ない場合や、表層の不安定化が懸念される場合は地山補強土工等との併用が必要。岩盤以外ののり面で1:0.8より急な場合は,植生工と緑化基礎工の併用ではのり面の浸食や崩壊の防止は困難なので、構造物工の適用および植生工の併用を検討する。
A 砂質土等の浸食されやすい土砂からなるのり面;一般に植生工で対応。湧水や表流水による浸食防止が必要な場合は、緑化基礎工と植生工を併用
B 湧水の多いのり面;地下排水施設を積極的に採用する。のり面保護工としては井桁、じゃかご等の開放型の保護工が有効
 なお、緑化基盤工は、のり面を繊維や簡易のり枠などで補強してから植生を行う工法。

参照:(テキスト1章P19)(道路土工−切土工・斜面安定工指針8章参照)


【問 2】 カルバートの特徴に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。
 (1) 門形カルバートは、現地の状況から底版の設置が困難な場合や、内空幅が大きい場合に有利となる。
 (2) 剛性パイプカルバートは、土かぶりや荷重の作用状況により、適切なものを選定する必要があるが、一般にプレストレストコンクリートパイプカルバートは主に土かぶりの小さい場合に用いられる。
 (3) アーチカルバートは、アーチ部分の型枠およびコンクリートの施工が難しく、カルバートの土かぶりが大きくなると、ボックスカルバートよりも経済的に不利となる傾向にある。
 (4) 硬質塩化ビニルパイプカルバートは、軽量であるため長尺で扱うことができるが、酸やアルカリには弱いので取扱いに注意する必要がある。

解答と解説: 

解答--- (1)

【解説】カルバートの採用に当たっては、その特徴を理解し使用目的,内空断面や土かぶりの他,設置箇所の地形・地質,土質地盤,施工条件等を考慮のうえ,合理的かつ経済的となるよう選定するものとする。
(2) 剛性パイプカルバートは,材料や強度,管径,継手の構造等の異なる管種があるため,土かぶりや荷重の作用状況により,適切なものを選定する必要がある。一般に,プレストレストコンクリ−トパイプカルバートは主に土かぶりの大きい場合に用いられる。
(3) 上載土による土圧をアーチ効果によりカルバートの曲げモーメントと軸力で支持することから、カルバートの土かぶりが大きくなると、ボックスカルバートよりも経済性において有利となる傾向にある。
(4) 硬質塩化ビニルパイプカルバートは,軽量であるため長尺で扱うことができるとともに、酸やアルカリに強い性質をもっている。ただし,寒冷地で使用する場合は、剛性が上がるため,施工中に衝撃が加わらないようにするなど,取扱いに注意する必要がある。

カルバート種類

参照:(テキスト1章P30、31)(道路土工−カルバート工指針3章)

【問 3】 歩行者自転車用柵に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。
 (1) 歩行者の横断防止などを目的として設置する柵の路面から柵面の上端までの高さは0.5〜0.6mを標準とする。
 (2) 歩行者などの転落防止を目的として設置する柵の路面から柵面の上端までの高さは1.1 mを標準とする。
 (3) 歩行者自転車用柵種別P種は、主として橋梁、高架に設置されるものであり、道路橋示方書に示される部材の許容応力度(割増しを見込まない)を用いて設計する。
 (4) 歩行者自転車用柵種別SP種は、設計荷重が短期荷重で、あることや経済性の観点から、部材の耐力を用いて設計する。

解答と解説: 

解答--- (2)

【解説】(1) 設置する柵が所定の路面から柵面の上端までの高さが確保できるように設置するものとする。転落防止目的では高さ1.1mを歩行者の横断防止などの目的では0.7〜0.8mを標準とする。
(3) 歩行者自転車用柵は、原則として種別Pを適用するものとし、歩行者等の滞留が予想される区間および橋梁、高架の区間に設置される転落防止を目的とした柵は、集団による荷重を想定し、種別SPを適用するものとする。
(4) 設計に際して、種別Pは、設計荷重が短期荷重であることや、経済性の観点から部材の耐力を用い設計することが出来る。種別SPにあっては、主として橋梁、高架に設置されるものであり、部材の許容応力度(割増しを見込まない)を用いて設計する。

参照:(テキスト1章P38)(防護柵の設置基準・同解説3章)


【問 4】 建設機械の走行に必要なコーン指数に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 普通ブルドーザ(21t級)と湿地ブルドーザでは、普通ブルドーザ(21t級)の方が走行に必要なコーン指数が大きい。
 (2) 普通ブルドーザ(21t級)と自走式スクレーパー(小型)では、自走式スクレーパー(小型)の 方が走行に必要なコーン指数が大きい。
 (3) ダンプトラックと普通ブルドーザ(21t級)では、ダンプトラックの方が走行に必要なコーン指数が大きい。
 (4) ダンプトラックと自走式スクレーパー(小型)では、自走式スクレーパー(小型)の方が走行に必要なコーン指数が大きい。

解答と解説: 

解答--- (4)

【解説】土質条件による建設機械の適応機種の選定にあたっては、特にトラフィカビリティに留意しなければならない。建設機械が軟弱な土の上を走行するとき、土の種類や含水比によって作業能率が著しく変化し、また高含水比の粘性土などではこね返しにより走行不能になることもある。この走行性を表すトラフィカビリティは、コーン指数 で示される。このコーン指数の測定は、盛土材となる土を採取して、コーンペネトロメーターを用いて行う。建設機械の走行に必要なコーン指数を下表に示す。
(4) 上表のように、ダンプトラックに必要なコーン指数 1,200 kN/m2 に対して自走式スクレーパー(小型)は 1,000 kN/m2 となっている。従って、ダンプトラックと自走式スクレーパー(小型)では、自走式スクレーパー(小型)の方が走行に必要なコーン指数は小さい。(スクレーパーの方がダンプトラックより軟弱な地盤上を走行できる。)

表 建設機械の走行に必要なコーン指数

建設機械の種類 コーン指数qc (kN/u) 建設機械の接地圧 (kN/u)
超湿地ブルドーザ
200以上
15〜23
湿地ブルドーザ
300以上
22〜43
普通ブルドーザ(15t級程度)
500以上
50 〜60
普通ブルドーザ(21t級程度)
700以上
60 〜100
スクレープドーザ
600以上

(超湿地型は400以上)
41〜56

(超湿地型は27)
被けん引式スクレーパ(小形)
700以上
130〜140
自走式スクレーパ(小形)
1,000以上
400〜450
ダンプトラック
1,200以上
350〜550

参照:(テキスト1章P48)(道路土工要綱第5章)

【問 5】 のり面緑化工における植生工の設計・施工のための調査に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 表土を土羽土や客土として利用することを検討するために、工事対象場所における表土の標準貫入試験や物理探査を行わなければならない。
 (2) 対象のり面と周辺環境との連続性や調和を図るため、周辺環境の調査を行い、さらに、使用する植物が周辺環境に与える影響についても検討する。
 (3) 植物の選定、施工時期、施工方法などの検討に必要な気温、降水量、積雪量、風向風速、日照などについて調査を行わなければならない。
 (4) 国内産の在来種の種子や地域性種苗を使用することを予定している場合には、市場で入手可能な種と数量をあらかじめ調査する。

解答と解説: 

解答--- (1)
【解説】(1) 「土羽(どは)」は盛土ののり面部分をいう。「客土」は作物生産にとっての土壌的な阻害要因を改良するために、他の場所から適正土壌を移動(搬入)して土壌改良を行うこと。よって「表土を土羽土や客土として利用することを検討する」ことは、のり面緑化に適した土壌かどうかを確認することである。したがって設問は、「工事対象場所における表土の物理探査ではなく、土壌調査(理化学性や量の確認)を行う。」が正しい。

参照: (テキスト13章P19,21)(道路土工−切土工・斜面安定工指針第8章)


【問 6】 公共工事標準請負契約約款の内容に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
 (1) 発注者は、工事目的物に瑕疵があるときは、受注者に対して相当の期聞を定めてその瑕疵の修補を請求し、または修補に代えもしくは修補とともに損害の賠償を請求することができる。
 (2) 発注者は、受注者が工事の施工について第三者に損害を及ぼしたときは、その損害を負担しなければならない。
 (3) 受注者は、工事の全部もしくはその主たる部分または他の部分から独立してその機能を発揮する工作物の工事を一括して第三者に委任し、または請け負わせてはならない。
 (4) 受注者は、工事の施工に当たり、設計図書で明示されていない施工条件について予期することのできない特別な状態が生じたときは、その旨を直ちに監督員に通知し、その確認を請求しなければならない。

解答と解説: 

解答--- (2)

【解説】公共工事標準請負約款の第二十八条では、 「工事の施工について第三者に損害を及ぼしたときは、受注者がその損害を賠償しなければならない。ただし、その損害(第五十一条第一項の規定により付された保険等によりてん補された部分を除く。以下この条において同じ。)のうち発注者の責めに帰すべき事由により生じたものについては、発注者が負担する。」とあり、発注者の責めに帰すべき事由のないものは受注者がその損害を賠償する。

参照: (サブテキストP52)( 公共工事標準請負契約約款28条)


【問 7】 公共測量作業規程の準則における路線測量に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 「仮BM設置測量は、平地においては4級水準測量、山地においては簡易水準測量により行うものとする。
 (2) 中心線測量において主要点の設置は、近傍の4級基準点以上の基準点にもとづき、放射法などにより行うものとする。
 (3) 縦断測量は、仮BMまたはこれと同等以上の水準点にもとづき、平地においては4級水準測量、山地においては簡易水準測量により行うものとする。
 (4) 用地幅杭設置測量は、近傍の4級基準点以上の基準点、主要点、中心点などから放射法などにより用地幅杭を設置して行うものとする。

解答と解説: 

解答--- (1)

【解説】(1) 仮BM設置測量;第396条 「仮BM設置測量」とは、縦断測量及び横断測量に必要な水準点(以下「仮BM」という。)を現地に設置し、標高を定める作業をいう。ただし、河川等で距離標がある場合は、これを仮BMとして使用することができる。
  (方 法)
第397条 仮BM設置測量は、平地においては3級水準測量により行い、山地においては4級水準測量により行うものとする。
2 仮BMを設置する間隔は、0.5キロメートルを標準とする。
3 精度管理の結果は、精度管理表にとりまとめるものとする。 (標杭の設置)第398条 仮BMには、標杭を設置するものとする。ただし、堅固な構造物等を利用するときは、この限りでない。

参照: (テキスト1章P60)(公共測量作業規程の準則第397条)


【問 8】 盛土材の試験、室内土質試験、原位置試験に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 原位置試験は、原位置での地盤の状態や性質を調べることが可能であり、孔内水平載荷試験、ベーン試験などがある。
 (2) 軟弱地盤において地盤のすべり破壊が予想される場合は、安定検討を行うために透水係数を求める必要がある。
 (3) 盛土材の検討を行う場合には、土粒子密度や粒度分布などの物理特性や締固め特性、乱した土のCBRおよび締め固めた土のコーン指数などの試験が必要である。
 (4) 軟弱地盤対策工として表層および深層混合処理工法の適用性を検討する試験には、土の物理・化学試験、配合試験、六価クロム溶出試験などがある。

解答と解説: 

解答--- (2)

【解説】軟弱地盤において、地盤のすべり破壊が予想される場合には、安定検討を行うためにせん断強さを求める。せん断強さとしては、盛土を急速に施工するときの安定を検討する場合、一面せん断強さや一軸圧縮強さ、非圧密非排水三軸圧縮試験のせん断強さを求める。従って”透水係数を求める”は不適当である。

参照: (テキスト1章P63〜68)(道路土工−軟弱地盤対策工指針第3章)

【問 9】 路床の支持力評価に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 信頼性を考慮した舗装の理論的設計方法では、各地点の弾性係数とポアソン比を基盤条件として用いる。
 (2) 各地点のCBRの計算は、通常、路床が上部ほど高いCBRを示している場合に適用することができる。
 (3) コンクリート舗装の路床の支持力は、一般に平板載荷試験あるいはCBR試験により評価する。
 (4) コンクリート舗装の構造設計に用いる路床の設計支持力係数は、各地点の支持力係数の平均値である。

解答と解説: 

解答--- (4)

【解説】(4) 路床は,平板載荷試験の測定結果から求まる設計支持力係数,またはCBR試験の結果から求まる設計CBRによって評価を行い,設計に用いる基盤条件とする。設計支持力係数の算出方法は、ほぼ同一材料の路床区間において3箇所以上の平板載荷試験(一般には直径30cmの載荷板を用いる)による実測値にもとづき次式より求める。設問では標準偏差の引き算が抜けている。
   設計支持力係数=各地点の支持力係数の平均値−各地点の支持力係数の標準偏差

参照:(テキスト2章P27,29)(舗装設計便覧第6章)


【問 10】アスファルト舗装の構造設計に関する次の記述のうち、不適当なものどれか。
 (1) 経験にもとづく構造設計方法(TA法)は、ポーラスアスファルト舗装やフルデプスアスファルト舗装の設計にも適用できる。
 (2) 疲労破壊輪数など、設定された性能指標の値を満足するものであれば、設計方法および使用材料は任意に選定できる。
 (3) 舗装の設計期間は、疲労破壊によるひび割れが生じるまでの期間であり、供用できなくなるまでの期間と同一である。
 (4) 構造設計では、疲労破壊抵抗性などの性能を考慮し、舗装を構成する層の数、各層の材料、各層の厚さなどを決定する。

解答と解説: 

解答--- (3)

【解説】(3) 舗装の設計期間は、自動車の輪荷重を繰り返し受け疲労破壊により舗装にひび割れが生ずるまでに要する期間である。しかし、舗装は疲労破壊によりひび割れが発生した後でも、初期の段階においては車両の通行が可能であり、舗装が供用できなくなるまでの期間(寿命)とは必ずしも一致しない。
 舗装の設計期間設定上の留意点として,
@ 路面の設計期間の設定の場合と同様に道路交通や沿道環境に及ぼす舗装工事の影響,当該舗装のライフサイクルコスト,利用できる舗装技術等を総合的に勘案して道路管理者が適宜設定する。
A 舗装工事が交通に及ぼす影響の大きい、主要幹線道路の舗装・トンネル内舗装・交通量の多い交差点部や都市部の幹線道路などは,設計期間を長くとることが好ましい。
B 将来とも交通量の大幅な増大が予想されず,舗装工事による交通への影響も大きくない場合には,設計期間を短く設定し,舗装の状態と交通量の動向を見ながら舗装を管理する方法も考えられる。
C 近い将来の道路拡幅など舗装以外の理由により打換えの時期が決まっている場合には,この期間を設計期間とする。また,都市内の区画道路などでは,ライフライン等地下埋設物の設置計画も考慮して設計期間を設定する。

参照:(テキスト2章P9)(舗装の構造に関する技術基準・同解説第1章)


【問 11】 アスファルト舗装の補修時の構造設計に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 残存等値換算厚TA0は舗装の破損状況に応じて等値換算厚で評価したものであり、表基層の破損状態が軽度の場合の換算係数は新設時と同じとしてもよい。
 (2) 舗装構造に関する破損では、FWD試験などの非破壊調査や開削調査の結果にもとづき、舗装構成層のどの層まで補修が必要か検討する。
 (3) 補修工法の選定においては、路面高さ、地下埋設物、交通規制、作業時間などの制約条件から、オーバーレイの採用や補修の厚さに制限が生じることがあるので留意する。
 (4) 路面のたわみが特に大きい場合や広範囲に及ぶ全層打換えの場合は、開削調査や非破壊調査などにより設計CBRを求めることが望ましい。

解答と解説: 

解答--- (1)

【解説】(1) 残存等値換算厚は、舗装構造を破損状況に応じて表層・基層用の加熱アスフアルト混合物の等値換算厚で評価したものである。TA0の計算に用いる換算係数は、表・基層の場合は0.9〜0.5の範囲で設定されている。上層路盤以下の層の材料は、新設時と同等と認められるものを最大値にとり、破損の状況に応じて係数を定める。

参照: (テキスト2章P141)(舗装設計施工指針第2章)


【問 12】 普通コンクリート版の構造細目に関する次の記述のうち、不適当ものはどれか。
 (1) コンクリート版に用いる鉄網は、通常6mmの異形棒鋼を溶接で格子状に組み上げたものである。
 (2) 膨張目地は、橋梁、横断構造物の位置、収縮目地間隔および1日の舗設延長などをもとにして適切な間隔で設ける。
 (3) 1日の舗設の終わりに設ける横収縮目地は、タイバーを用いた突合せ目地とする。
 (4) 車道内にマンホールがある場合は、13mmの異形棒鋼を用いてマンホールのまわりを補強する。

解答と解説: 

解答--- (3)

【解説】普通コンクリート版の構造細目を分類すると、@目地、A鉄網、B縁部補強鉄筋およびC普通コンクリート版特定箇所(橋台・ボックスカルバート・マンホール等との接続部や高サブ、拡幅部等補強必要箇所)の補強対応がある。目地について言えば、収縮,そり等をある程度自由に起こさせることによって,応力を軽減する目的で目地を設ける。目地を分類すると以下のようになる。

目地の分類

 図に示す目地の分類でも分かるように、横目地は原則的にダウエルバー(機能的にはスリップバー)を用いる。従って、(3) 1日の舗設の終わりに設ける横収縮目地は、タイバーではなくダウエルバーを用いた突合せ目地(施工目地)とする、が正しい。

参照: (テキスト2章P31)(舗装設計施工指針付録−6)


【問 13】 各種の舗装に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 橋面舗装は、交通荷重による衝撃作用、雨水の浸入や温度変化などの気象作用などから橋梁床版を保護する役割を担っている。
 (2) コンポジット舗装のコンクリート系の版として半たわみ性混合物を用いる場合、温度応力は一般に考慮する必要はない。
 (3) フルデプスアスファルト舗装は、舗装の仕上がり高さが制限される場合や比較的地下水位が高い場合などに用いられている。
 (4) 透水性舗装において、路床の上に設けるフィルター層は、一般に構造設計の等値換算厚の計算に含める。

解答と解説: 

解答--- (4)

【解説】透水性舗装の利点としてa)街路樹の保護育成、b)すべり抵抗性の維持と歩行性及び歩行性の確保、c)雨水を地中に還元あるいは一時貯留でき雨水流出量の低減が可能であること、d)排水施設への負担軽減等がある。以上の利点から、都市内では透水性舗装とする場合が多い。
透水性舗装の構成 舗装構成は、右図に示すとおりである。この舗装は、一般に開粒度アスファルト混合物を使用した表層、クラッシャランまたは単粒度砕石或いは透水性瀝青安定処理路盤で構成される。路盤面のプライムコートは、透水機能を低下させるので設けない。また、路床土が路盤に侵入するのを防止するために粘土分やシルト分の少ない砂等をフィルター層として設ける。
構造設計の断面仮設定の手順は以下の通りである。
舗装断面を,設計CBRと舗装計画交通量から求められたTAを満たすように仮設定する。
@ 表層および基層用の開粒度アスフアルト混合物には,耐久性確保のためポリマー改質アスファルトなどを用いるとよい。
A 表層および基層に使用する開粒度アスフアルト混合物の等値換算係数は1.0とする。
B 路盤は,透水性の高い透水性瀝青安定処理路盤材料またはクラッシャラン等を用いる。一般には透水性が劣るため粒度調整砕石を使用しない。
C 構築路床または路床(原地盤)の上に一般にフィルター層を10〜 15cm設ける。フィルター層は構造設計の計算に含めない。
 以上のようにフィルター層は構造設計の等値換算厚の計算に含めない。

参照: (テキスト2章P99)(舗装設計施工指針第3章)


【問 14】 アスファルト混合物に用いる骨材などに関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) スクリーニングスは、砕石などを製造する場合に生じる、粒径2.36mm以下の細かい部分をいう。
 (2)  骨材として使用する砕石のうち、砂利と砂とを分けずに採取したものを玉砕という。
 (3) 花両岩や頁岩などを含む砕石で、加熱することによってすり減り減量が大きくなるものは、特に表層に用いてはならない。
 (4) フィラーとして石灰岩を粉砕した石粉を使用する場合、水分量1.0%以下のものを使用する。

解答と解説: 

解答--- (2)

【解説】 河床などに堆積しているものを採取したままで、ふるい分けや水洗いをしていない砂利、細粒分を含んだものを「切込砂利」、岩石または玉石をクラッシャで割り放したままの採石を「切込砕石」という。また、大きさが15〜30cm程度の丸みをおびた天然石材を「玉石」という。玉石または砂利を砕いたものを「玉砕」という。この定義から、(2)の説明にある、砂利と砂とを分けずに採取したものは切込砂利のことである。

参照: (テキスト2章P42)(舗装施工便覧3章)(道路用語辞典)


【問 15】 舗装に用いる瀝青材料に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 高濃度アスファルト乳剤(PK-H)は、蒸発残留分を特に多くしたもので、主に表面処理や中央分離帯のシールに用いられる。
 (2) ゴム入りアスファルト乳剤(PKR-T)は、ポーラスアスファルト舗装や橋面舗装のタックコートなどとして用いられる。
 (3) ポリマー改質アスファルトには、大きく分けて、T型、U型、V型、H型があり、H型は主にポーラスアスファルト混合物に使用される。
 (4) 舗装用石油アスファルト20〜40は、低温地域で表層の温度ひび割れ対策として使用することがある。

解答と解説: 

解答--- (4)

【解説】石油アスファルトの種類別の使い方としては、一般地域では主として60〜80、積雪寒冷地域では主として80〜100を用いることが多い。
 また、40〜60は一般地域で交通量が多い場合に、100〜120は温度ひび割れが特に予想される低温地域に、それぞれ選定し用いられる。なお、積雪寒冷地域でも耐流動対策を必要とする場合には、60〜80を用いることがある。
改質アスファルト  改質アスファルトは、ポリマーや天然アスファルト等を加えて石油アスファルトの性状を改善したもので、アスファルト混合物の各種の性状(耐流動性、耐摩耗性生、骨材との付着性など)を向上させるために使用する。
 現在、舗装に主として使用されている改質アスファルトには、ゴムや熱可塑性エラストマーを単独または両者を併用したポリマー改質アスファルトT型、U型、V型、ポーラスアスファルト混合物用の H型などがある。またアスファルトを軽度にブローイングしたセミブローンアスファルトもある。
  舗装用石油アスファルト20〜40は、鋼床版舗装等に用いる硬質アスファルトを造る際のベースアスファルトとして、天然アスファルト(トリニダードレイクアスファルト)との混合用に用いられる。
 

参照:(テキスト2章P36、37) (舗装施工便覧3章)


【問 16】 アスファルト舗装の上層路盤材料に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 石灰安定処理工法は、PI(塑性指数)の大きな地域産材料などの活用を図る場合に用いることがある。
 (2) セメント安定処理工法に用いる安定材には、普通ポルトランドセメントや高炉セメントなどがある。
 (3) 瀝青安定処理工法に用いる加熱瀝青安定処理路盤材料の品質規格は、修正CBRが80 %以上である。
 (4) 粒度調整工法に用いる骨材の最大粒径は40mm以下で、かつ一層の仕上がり厚の1/2以下がよい。

解答と解説: 

解答--- (3)

【解説】上層路盤の安定処理に用いる骨材の品質は、目安として下表に示されている。

上層路盤安定処理品質
 表から分かるように、瀝青安定処理路盤材はアスファルト混合物と同様にマーシャル安定度試験項目で品質規格(安定度・フロー値・空隙率)が決められていることから、修正CBRは間違いである。
 上層路盤材料の選定上の留意点は以下の通り。
1) 上層路盤材料は,ほとんどが中央混合方式等により製造されるものであるため,事前にその地域における材料の供給状況を確認しておく。
2) 上層路盤に再生路盤材料を単独または安定処理して用いる場合,その品質は「舗装再生便覧」 を参照する。
3) 安定処理に用いる骨材は,上表に示す品質を満たしているものがよい。この品質は経済的な安定材の添加量の範囲で所定の強度が得られる目安を示したものである。なおこの品質からはずれる骨材であっても、上層路盤材料の品質規格を満足する安定処理が行える場合には使用してもよい。
参照:((テキスト2章P57〜59)(舗装施工便覧5章)



【問 17】 加熱アスファルト混合物の配合設計に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 配合設計に使用するマーシャル安定度試験の基準値は、空隙率、飽和度、動的安定度、フロー値である。
 (2) 同一の材料と配合とによって、良好な結果を得ている過去の配合を利用する場合、配合設計を省略することができる。
 (3) ポーラスアスファルト混合物に回収ダストを全フィラー量の30〜50%使用する場合、石粉の剥離抵抗性試験にも合格することを確認しておくことが望ましい。
 (4) 使用する骨材の間で、密度の差が 0.2g/? 以上ある場合、骨材配合比の密度補正を行う。

解答と解説: 

解答--- (1)

【解説】加熱アスファルト混合物の配合設計は、マーシャル安定度試験によって最適アスファルト量を設定することである。手順を下図に示す。

As混合物配合設計手順
 図中Eから分かるように、マーシャル安定度試験では安定度、フロー値、密度の測定から空隙率、飽和度等を算出し、設計アスファルト量を設定する。従って、設問にある動的安定度は図中Gのホイールトラッキング試験から求める耐流動性の指標である。
参照:(テキスト2章P61)(舗装施工便覧6章)


【問 18】 加熱アスファルト混合物の各種対策に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 摩耗対策として、密粒度アスファルト混合物(13F)を選定した。
 (2) 摩耗対策として、アスファルト量は、配合設計で得られたアスファルト量の共通範囲の下限値とした。
 (3) 剥離対策として、アスファルト量は、配合設計で得られたアスファルト量の共通範囲の上限値とした。
 (4) 剥離対策として、フィラーの一部に消石灰やセメントを用いた。

解答と解説: 

解答--- (2)

【解説】加熱アスファルト混合物の設計アスファルト量はマーシャル試験結果を下図の図式に表し、

As混合物配合設計手順
 図中、共通範囲の中央値を一般に設計アスファルト量とする。ただし,各種対策が必要な場合は、以下の点を留意し対応する。
 耐流動対策:一般地域で特に流動が予想される場合の表層用混合物(特別な場合は基層用混合物も含む)の設計アスファルト量は共通範囲の中央値から下限値の範囲で設定するとよい。アスファルト量の調整で対応できない場合は改質アスファルトの採用を検討する。
 摩耗対策:積雪寒冷地域で特に摩耗作用が著しい場合や,一般地域で交通量が少ない場合,および多雨多湿な地域などでの摩耗対策としての混合物の種類は、密粒度アスファルト混合物(20F, 13F),細粒度ギャップアスファルト混合物(13F),細粒度アスファルト混合物(13F),密粒度ギャップアスファルト混合物(13F)の中から選ぶ。アスファルト量が多いほど耐摩耗性は向上する。アスファルト量は、配合設計で得られたアスファルト量の共通範囲の中央値から上限の範囲で設定する。したがって,耐摩耗性改善を目的とした混合物はアスファルト量が多くなる傾向にあるので,夏期の耐流動性についても考慮しておく。
 剥離防止対策:アスファルト混合物において,アスファルトと骨材が剥離すると,混合物が粒状化して破壊するため,一度発生すると修復は困難である。したがって,剥離が想定される場合は、次のような剥離防止対策を講じる。
1) フィラーの一部に消石灰やセメントを用いる。その使用量は,アスファルト混合物全質量に対して1〜3%を標準とする。
2) 剥離防止剤を用いる。その使用量は,一般にアスファルト全質量に対して0.3%以上とする。
3) 針入度の小さいアスフアルトを用いる。この場合,針入度は40〜60がよい。より効果を高めるために,剥離防止対策を施した改質アスファルトを使用することもある。
4) 配合は,できるだけ水密性に富むものにする。そのアスファルト量は,配合設計で得られたアスファルト量の共通範囲の上限値を標準とする。水に対する抵抗性の検討は,マーシャル安定度試験による残留安定度や,水浸ホイールトラッキング試験によるとよい。
低騒音メカニズム

参照:(テキスト2章P46,64〜66)(舗装施工便覧6章)


【問 19】 舗装用セメントコンクリートの配合に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。
 (1) スランプは、コンクリートの強度発現や乾燥収縮に伴う初期ひび割れの発生防止などを考慮し、舗設作業ができる範囲内で、できるだけ大きいものが望ましい。
 (2) 単位粗骨材容積は、コンクリート中の全骨材量に対する細骨材量の絶対容積比を百分率で表した値である。
 (3) 所要のコンシステンシーを得るのに必要な単位水量は、骨材に砕石や砕砂を用いる場合より、砂利や天然砂を用いた方が多くなる。
 (4) 耐久性を考慮して単位セメント量を決める場合には、凍結融解の頻度などの環境条件により、水セメント比の最大値が定められている。

解答と解説: 

解答--- (4)

【解説】(1) コンクリートは、舗設方法、気象条件、現場条件などに応じたワーカビリティーを持ち、所要の締固めや平たん性が容易に得られるようなフィニッシャビリティーを持ち、作業が可能な範囲でコンシステンシーの小さいものでなければならない。舗設位置におけるコンシステンシーは、スランプで2.5cm、沈下度で30秒を標準とする。ただし人力施工、配筋量の多い版、ダンプトラックが使用できない箇所での施工では、スランプ6.5cm程度を標準とする。
(2) 単位粗骨材容積は、コンクリート1?に用いる粗骨材のかさ容積で、細骨材率および単位粗骨材容積は、所要のワーカビリティー並びにフィニッシャビリティーが得られる範囲内で、単位水量が最小になるように定める。
(3) 単位水量はどんな場合でも150kg/m3 以上となる場合は、骨材が適当でないと考えてよい。また一般にダンプトラックを用いて運搬するので、水分の蒸発、空気量の損失により、スランプが小さくなる。スランプの小さくなる程度は、気温、湿度、運搬距離等により異なり、試験によって確認をしておく。
 ・所要のコンシステンシーを得るために必要な単位水量は、細骨材率(砂の比率)が小さくなるほど減少する。
 ・天然骨材と比べ砕石や砕砂は稜角に富む(ごつごつしている)ことから作業性(ワーカビリティー)を確保するためには水の量が多く必要となる。
 ・粗骨材の最大寸法は、大きいほど単位水量を少なくできるが、反対に材料分離しやすくなるので、施工条件やコンクリート版の種類に応じて選定する。
(4) 単位セメント量:  @ 単位セメント量は、所要の品質が得られるように定めなければならない。単位セメント量の標準は、280〜350kg/m3 程度である。
 A 所要の品質が得られるように定めなければならない。単位セメント量の標準は、280〜350kg/m3 程度である。
 B 耐久性をもとにして単位セメント量を定める場合の水セメント比(W/C)の最大値は下表のように定められている。
 
環境条件 水セメント比
特に厳しい気候で凍結融解がしばしば繰り返される場合

凍結融解がときどき起こる場合
45

50

参照:(テキスト2章P67〜69)(舗装施工便覧6章)

【問 20】 各種の舗装に用いる材料に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) コンポジット舗装の表層に、密粒度アスファルト混合物を用いた。
 (2) 透水性舗装の基層に、砕石マスチック混合物を用いた。
 (3) 鋼床版における橋面舗装の基層に、グースアスファルト混合物を用いた。
 (4) 保水性舗装の表層の母体に、ポーラスアスファルト混合物を用いた。

解答と解説: 

解答--- (2)

【解説】 各種の舗装;
 @ コンポジット舗装:コンポジット舗装は、表層または表層・基層にアスファルト混合物を用い、直下の層にセメント系の版(普通コンクリート版、連続鉄筋コンクリート版、転圧コンクリート版や半たわみ性舗装等)を用いた舗装である。
 A 透水性舗装:【問 13】の解説に断面図があるが、原則として雨水の地下への浸透や雨水流出の抑制を目的としており、各層とも一定の透水係数が確保されなければならない。その意味で(2) 砕石マスチック混合物は水密性で、水を通さないため透水性舗装には使えない。
 B 橋面舗装:床板には大きく分けてコンクリート床板と鋼床版があり、一般にコンクリート床板の場合は下層(基層)に粗粒度アスファルト混合物を、鋼床版にはグースアスファルト混合物を用いる。
 C 保水性舗装:保水性舗装は、保水機能を有する表層や表・基層に保水された水分が蒸発する際の気化熱により路面温度の上昇と蓄熱を抑制する舗装である。保水性舗装は、アスファルト舗装系保水性舗装(ポーラスアスファルト混合物の空隙に保水・吸水性能を有する材料(保水材)を充填したもの。)、コンクリート舗装系保水性舗装(ポーラスコンクリートに保水材を混練または充填したもの。)およびブロック系保水性舗装(吸水・保水能力を備えた舗装用ブロックを用いたもの。)に大別される。

参照:(テキスト2章P99,123,127,128,131)(舗装施工便覧9章)


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平成28年度 舗装施工管理技術者試験  学科試験 1級一般問題_問21〜問40
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2級一般問題_問01〜問20
2級一般問題_問21〜問40
平成28年度 舗装施工管理技術者試験  応用試験 1級応用問題
2級応用問題