平成28年度 1級舗装施工管理技術者資格試験  一般 試験問題(2/3)

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【問 21】 再生加熱アスファルト混合物に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) アスファルト混合物層の切削材は、粒度がばらつきやすいので再生加熱アスファルト混合物に使用しない。
 (2) 旧アスファルトの性状を回復させるために使用する再生用添加剤の動粘度(60℃)は、引火点も考慮して定められている。
 (3) 配合設計では、設計針入度への調整を行う方法と設計圧裂係数への調整を行う方法があり、どちらの方法を用いてもよい。
 (4) アスファルトコンクリート再生骨材の配合率が大きいと、設計再生アスファルト量の共通範囲の下限値が求められない場合がある。

解答と解説: 

解答--- (1)
【解説】(1) アスファルトコンクリート再生骨材(アスファルト混合物層の切削材含む)利用の可否については,旧アスファルトの針入度による評価あるいは,圧裂試験による評価で判断する。その場合の品質は,針入度または圧裂係数のどちらかが下表に示す基準を満足すればよい。
旧アスファルトの含有量     %
  3.8 以上
旧アスファルトの性状 針入度   1/10mm 20 以上
圧裂係数  MPa/mm 1.70 以上
骨材の微粒分量          %
5 以下

(4) アスファルトコンクリート再生骨材の配合率が大きいと,旧アスファルト量が多くなるため設計再生アスフアルト量の共通範囲の下限値が求められない場合がある。その場合は,共通範囲の中から求めるか,アスファルトコンクリート再生骨材の配合率を減じて設計再生アスファルト量を求めるとよい。
参照:(テキスト2章P119,149)(舗装再生便覧2章)


【問 22】 アスファルト舗装の試験に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) ホイールトラッキング試験は、アスファルト混合物の流動抵抗性を評価する試験である。
 (2) 突固め試験は、土が締め固められたときの乾燥密度と含水比の関係を求める試験である。
 (3) 修正CBR試験は、路床の支持力を評価する試験である。
 (4) 針入度試験は、アスファルトの硬さを評価する試験である。

解答と解説: 

解答--- (3)
【解説】アスファルト(混合物・舗装)に関する試験には以下のようなものがある。
試 験 名 概   要
針入度試験 アスファルトのコンシステンシー(アスファルトの硬さ)を表す
指標(針入度)を測定する試験
伸度試験 アスファルトの延性を調べる試験
薄膜加熱試験 アスファルトの加熱混合時の熱劣化の傾向を調べる試験
フラース脆化点試験 アスファルトの低温における可とう性を調べる試験
軟化点試験 舗装用石油アスファルト、改質アスファルトの品質試験および
回収アスファルトの劣化の程度の判定のために用いる試験
セイボルトフロール秒試験 アスファルトの高温時における粘度を測定するもの
エングラー度試験 アスファルト乳剤の粘性を評価するために行う試験
タフネス・テナシティ試験 アスファルトの把握力および粘着力を調べる試験
硫酸ナトリウムによる安定性試験 粗骨材および細骨材の凍結融解などに対する耐久性を評価する試験
カンタブロ試験 主にポーラスアスファルト混合物の骨材飛散抵抗性を評価する試験
マーシャル安定度試験 主として加熱アスファルト混合物に対する粗・細骨材とフィラーおよび
アスファルトの配合量を決定するための試験
水浸マーシャル安定度試験 アスファルト混合物の剥離性状を評価する試験
ダレ試験 排水性舗装用アスファルト混合物の配合設計に適用し、
最適アスファルト量を判定するための試験
ホイールトラッキング試験 アスファルト混合物の耐流動性を室内的に確認するために行う試験で、
単位時間あたりの変形量から動的安定度(DS)を求める
水浸ホイールトラッキング試験 加熱アスファルト混合物の剥離状況を測定し、水に対する
耐久性を評価する
ラベリング試験 アスファルト混合物等,表層用混合物の耐摩耗性を評価する試験。
試験機の違いにより、往復チェーン型、回転チェーン型、
回転スパイクタイヤ型の3種類の方法がある。
曲げ試験 加熱アスファルト混合物の破断時の曲げ強度およびひずみを求め
低温時におけるたわみの追従性を評価する。
圧裂試験 アスファルトコンクリート再生骨材に含まれるアスファルトの劣化の
程度を評価するもので、試験結果(圧裂係数)は再生加熱アスファルト
混合物の骨材として適用可能かどうかを判断するものである
加圧透水試験 アスファルト混合物の防水性などを評価するために、加圧した水に
よりアスファルト混合物の透水量を測定し、透水係数を求める試験
突き固め試験 土が締め固められたときの乾燥密度と含水比の関係を求める
修正CBR試験 所要の締固め度における粒状路盤材料の品質(強度特性)を求める試験
CBR試験 路床の支持力評価試験。対象路床土区間のCBR試験結果から
算定し、分類された区分(設計CBR)で評価する。

(3)の 修正CBR試験は、粒状路盤材料の品質評価試験である。路床の支持力評価は対象路床土区間のCBR試験結果から算定分類された設計CBRで評価する。
参照:(テキスト2章P5,22,37,65)(舗装調査・試験法便覧第2,3,4分冊)


【問 23】 路盤の施工に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) クラッシャランの締固め前に降雨があったので、少量のセメントを散布、混合して締め固めた。
 (2) 石灰安定処理路盤材料の締固めは、最適合水比よりもやや湿潤状態で行った。
 (3) 加熱アスファルト安定処理路盤材料の敷きならしにブルドーザを使用したので、初転圧に先立ち軽いローラで仮転圧を行った。
 (4) セメント安定処理路盤の横方向の施工継目は、前日の施工端部を乱してから新しい材料を打ち継いだ。

解答と解説: 

解答--- (4)
【解説】・下層路盤の施工:粒状路盤の施工では以下の事項に留意する。
 1) 粒状路盤の施工は、材料分離に留意しながら粒状路盤材を均一に敷きならし、締固めて仕上げる。
 2) 一層の仕上がり厚さは20p以下を標準とし、敷きならしは一般にモーターグレーダで行う。転圧は一般に10〜12tのロードローラと、8〜20tのタイヤローラで行うが、これらと同等の効果のある振動ローラを用いてもよい。
 3) 粒状路盤が乾燥している場合は、適宜散水し、最適含水比付近の状態で締め固める。豪雨などにより著しく水を含み締固めが困難な場合は、晴天を待って曝気乾燥を行う。また、少量の石灰またはセメントを散布、混合して締め固めることもある。
 ・セメント安定処理および石灰安定処理路盤の施工に当たって、以下の点に留意する。
 1) 上層路盤におけるセメントまたは石灰による安定処理は、安定処理路盤材を中央混合方式または路上混合方式により製造し、均一に敷きならし、締固めて仕上げる。この施工については、下層路盤の「粒状路盤の施工」および「セメント、石灰安定処理路盤の施工」に準ずる。
 2) 一層の仕上げ厚は10〜20pを標準とするが、振動ローラを使用する場合は上限を30pとしてよい。
 3) セメント安定処理の場合は、硬化が始まる前までに締固めを完了する。締固め終了後、直ちに交通開放しても差し支えないが、必要に応じてアスファルト乳剤などを散布するとよい。
 4) 石灰安定処理路盤材料の締固めは最適含水比よりやや湿潤状態で行うとよい。
 5) 横方向の施工目地は、セメントを用いた場合は施工端部を垂直に切り取り、石灰を用いた場合は前日の施工端部を乱して、各々新しい材料を打ち継ぐ。
 6) 縦方向の施工目地は、あらかじめ仕上がり厚さに等しい型枠を設置し、転圧終了後に取り去るようにする。
 7) 新しい材料を打ち継ぐ場合は、日時をおくと施工目地にひびわれを生じることがあるので、できるだけ早い時期に打ち継ぐことが望ましい。
参照:(テキスト2章P75,76)(舗装施工便覧第5章)


【問 24】 加熱アスファルト混合物の製造・貯蔵に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 製造時の混合温度は、一般に170℃を超えない範囲で、使用するアスファルトの針入度の品質規格に応じて設定する。
 (2) 一時貯蔵ビンは、運搬車の待機時間の節減やプラントの連続稼働を目的とした設備であり、12時間程度以下の貯蔵に用いられる。
 (3) 加熱貯蔵サイロは、混合物の酸化劣化防止対策を施して12時間以上の貯蔵を目的とした設備である。
 (4) バッチ式プラントにおけるアスファルト噴射後の混合時間は、一般に30〜50秒程度であり、アスファルトで骨材をすべて被覆するまで混合する。

解答と解説: 

解答--- (1)
【解説】1) 混合物製造時の混合温度・混合時間
 @ 混合温度は185℃を超えない範囲で、使用するアスファルトの動粘度に対応する温度範囲の中から選ぶ。ストレートアスファルトを使用する場合は粘度−温度曲線を使って設定するが、改質アスファルトを使用する場合は、製造者が提示する条件を参考に設定する。
 A 計量した骨材をミキサに投入し、5秒以上空練りした後にアスファルトを噴射し、アスファルトが骨材をすべて被覆するまで混合する。過剰な混合は,アスファルトの劣化に繋がるので避ける。一般に混合時間は30〜50秒であるが、細粒分の多い混合物は、混合時間を長くしなければならないことがある。
 2) 混合物の貯蔵
 @ 一次貯蔵ビン(サージビン)
 ・ 混合物運搬車の待機時間の節減、混合所の連続稼働が目的の保温貯蔵設備である。
 ・ 一次貯蔵ビンは、12時間程度以下のアスファルト混合物の貯蔵に用いる。
 ・ 混合直後の温度より10℃以上低下しないうちに貯蔵した混合物を排出することが望ましい。
 A 加熱貯蔵サイロ(ホットストレージサイロ)
 ・混合物の酸化による劣化防止対策を施し、12時間以上の貯蔵を目的としたサイロである。
 ・通常の貯蔵時間として、24時間以内の使用が大半であるが、急な天候不順などによって3日間程度貯蔵することもある。
 ・加熱貯蔵サイロの場合、サイロ内の混合物が少ないと、アスファルトの劣化が大きくなる傾向があるので、長期間貯蔵する場合、サイ  ロ内の混合物はできるだけ多く満たしておくのが望ましい。
 ・3日を超えて混合物を貯蔵する場合は、定期的に回収アスファルトの針入度を測定し、劣化の程度を確認する。
 ・混合物の酸化による劣化防止対策には、サイロ内の酸素濃度を下げる目的で不活性ガスあるいは過熱水蒸気をサイロに封入する方法が  採用されている。
参照:(テキスト2章P118,119,120)(アスファルト混合所便覧第4章)


【問 25】 ポーラスアスファルト混合物の製造・運搬に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 密粒度アスファルト混合物と比較して粗骨材の使用量が多く、製造時の温度制御が難しいので、温度管理には十分配慮する。
 (2) 混合物の空隙率が高く、運搬時に温度低下しやすいので、二重シートなどを掛けて十分な保温対策を行う。
 (3) バインダーには、一般にポリマー改質アスファルトH型が使用され、混合物が荷台に付着しやすいので、多量の軽油を塗布して付着を防止する。
 (4) アスファルトプラントの製造能力が、密粒度アスファルト混合物と比較して低下するので、工程計画に組み込んでおく。

解答と解説: 

解答--- (3)
【解説】 製造・運搬時の留意事項
@ アスファルトプラントにおけるポーラスアスファルト混合物の製造能力は,通常の混合物に比べて60%程度に低下するので、工程計画に組み込んでおくことが必要。
A ポーラスアスフアルト混合物は空隙率が高く,通常の加熱アスフアルト混合物よりも温度が低下しやすい。したがって,運搬車に積み込んだ混合物を二重シートなどで保護し,温度低下を防ぐ。
B 混合物が付着しないように,荷台の内側に,必要最低限度で付着防止剤を塗っておくとよい。
参照:(テキスト2章P112,113)(舗装施工便覧第7章)


【問 26】 アスファルト舗装の施工に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) プライムコートにはアスファルト乳剤(PK-4)、またタックコートにはアスファルト乳剤(MK-3)が通常使用される。
 (2) 寒冷期施工や急速施工の場合、タックコートの養生時間短縮のため、所定量のアスファルト乳剤を2回に分けて散布することがある。
 (3) 混合物の締固め作業は、一般に、継目転圧、初転圧、二次転庄および仕上げ転圧の順序で行う。
 (4) ローラ転圧は、一般に、横断勾配の低い方から高い方に向かい、順次幅寄せしながら適切な速度で行う。

解答と解説: 

解答--- (1)
【解説】 ・アスファルト乳剤(PK-3)は、プライムコート用およびセメント安定処理層養生用に、アスファルト乳剤(PK-4)はタックコート用に、アスファルト乳剤(MK-3)は、土混じり骨材混合用として用いる。
 ・寒冷期の施工や急速施工の場合、瀝青材料散布後の養生期間を短縮するために、以下の方法を採ることがある。
@ 瀝青材を加温して散布する
A ロードヒータにより散布する路面を加熱する
B 所定の散布量を2回に分けて散布する
参照:(テキスト2章P40,79,80)(舗装施工便覧第6章)


【問 27】 加熱アスファルト混合物の寒冷期の舗設に関する次の記述のうち、、不適当なものはどれか。
 (1) 転圧できる最小範囲まで敷きならしが進んだら、直ちにローラによる締固め作業を開始するとよい。
 (2) ロードローラによる初転圧時にヘアクラックが発生する場合は、線圧の小さいローラを用いるとよい。
 (3) ローラの締固め効果を高めるには、駆動輪よりも案内輪の方をアスファルトフィニッシャ側に向けて転圧するとよい。
 (4) 敷きならしは連続作業を心掛け、局部加熱に注意しながらアスファルトフィニッシャのスクリードを適宜加熱するとよい。

解答と解説: 

解答--- (3)
【解説】 初期転圧は、アスファルト混合物の温度が110〜140℃の時に、10〜12tの鉄輪のロードローラで踏み固めて安定させる。一般に、ロードローラの転圧速度は2〜3km/hとし、アスファルトフィニッシャ側に駆動輪を向け、勾配の低い方から等速で転圧する。駆動輪は車輪自体が前方へ回転することで路面を抑える力が働き、混合物を前方に押し出す力が小さくなるが、誘導輪の場合は下図のように混合物を押し出す作用が働く。また同様に、混合物の側方移動を出来るだけ少なくするために、転圧順序は両端部から先に行い、横断勾配が付いている場合は、両端部の転圧の後、勾配の低い方から順に転圧する。
As混合物配合設計手順
参照:(テキスト2章P112,113;漫画で学ぶ舗装工学P104)(舗装施工便覧第7章)


【問 28】 アスファルト舗装の継目の施工に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) ホットジョイントは、先行して敷きならした縦継目側の端部まで十分に締め固めておき、後続の混合物の敷きならし厚さ管理の目安にするとよい。
 (2) 施工中断時または終了時に設ける横継目は、横断方向にあらかじめ型枠を置いて、所定の高さに仕上げるとよい。
 (3) 横継目は、十分に締め固めるとともに、供用後の走行性に直接影響を与えるので平たんに仕上げるとよい。
 (4) 表層の縦継目の位置は、原則としてレーンマークに合わせるようにし、車輪の走行位置直下に設けないようにするとよい。

解答と解説: 

解答--- (1)
【解説】施工継目や構造物との接合部では,締固めが不十分となりがちとなる。所定の締固め度が得られない場合には,不連続となり弱点となりやすいので,施工継目はできるだけ少なくなるように計画する。継目は,その方向により横継目と縦継目とがある。
@ 横継目
1) 横継目は施工の終了時,またはやむを得ず施工を中断したとき,道路の横断方向に設ける継目で,仕上がりの良否が走行性に直接影響を与えるので,平たんに仕上げるように留意する。
2) 舗設作業をやむを得ず長時間中断するときは敷きならしの終わった端まで転圧を完了させておく。
3) 施工中断時または終了時の継目は,横断方向にあらかじめ型枠を置いて,所定の高さに仕上げる。
4) 既設舗装の補修・延伸の場合を除いて,下層の継目の上に上層の継目を重ねないようにする。
A 縦継目
1) 縦継目は道路幅員を車線数に分けて施工する場合に道路中心線に平行に設ける継目である。締固めが十分でないと継目部の開きや縦ひび割れなどが生じやすい。
2) 表層の縦継目の位置は,原則としてレーンマークに合わせるようにする。
3) 各層の継目の位置は,既設舗装の補修・拡幅の場合を除いて,下層の継目の上に上層の継目を重ねないようにする(舗装施工便覧図−6.4.2参照)。また縦継目は,上・下層とも車輪の走行位置直下にしないようにする。
4) 縦継目部は,レーキなどで粗骨材を取り除いた新しい混合物を,既設舗装に5cm程度重ねて敷きならし,直ちにローラの駆動輪を15cm程度かけて転圧する。
5) ホットジョイントの場合は,縦継目側の5〜l0cm幅を転圧しないでおいて,この部分を後続の混合物と同時に締め固める。
参照:(テキスト2章P81)(舗装施工便覧第6章)


【問 29】 舗装コンクリート版の養生に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) コンクリート表面の養生剤には、被膜型と浸透型があり、初期・後期の一貫養生が可能なものもある。
 (2) 転庄コンクリート版の施工では、舗設後直ちに養生マットなどを用いて後期養生を行ってもよい。
 (3) 初期養生は、後期養生より養生効果が大きいので、コンクリート表面を荒らさず、養生できるようになったらなるべく早く実施する。
 (4) 初期養生は、コンクリート版の表面仕上げに引き続き行い、コンクリート表面の急激な乾燥を防ぐために行う。

解答と解説: 

解答--- (3)
【解説】 養生は,表面仕上げした直後から,表面を荒らさずに養生作業ができる程度に,コンクリートが硬化するまで行う初期養生と,初期養生に引き続き,コンクリートの硬化を十分に行わせるために,水分の蒸発や急激な温度変化等を防ぐ目的で,一定期間散水などをして湿潤状態に保つ後期養生とに,分けられる。
@ 初期養生 
1) 初期養生はコンクリート版の表面仕上げに引き続き行い,後期養生ができるまでの間,コンクリート表面の急激な乾燥を防止するために行う。コンクリート版の表面が日光の直射や風などにより急激に乾燥すると,ひび割れが発生することがあるので留意する。
2) 初期養生としては,一般に舗設したコンクリート表面に養生剤を噴霧散布する方法で行われる。また大規模工事ではそれに加えて三角屋根養生を併用することがある。
3) コンクリート表面の養生剤には,被膜型と浸透型がある。養生剤は,種類に応じた適切な散布量を適切な時期に均一に散布する。なお,養生剤には,初期・後期の一貫養生が可能なものもある。
4) 転圧コンクリート版の施工では,コンクリートの舗設後すぐに後期養生へ移れるので,初期養生は行わない。 A 後期養生
1) 後期養生は,その期間中,養生マット等を用いてコンクリート版表面をすき間なく覆い,完全に湿潤状態になるように散水する。
2) 後期養生は初期養生より養生効果が大きい>ので,コンクリート表面を荒らさないで,後期養生ができるようになったら,なるべく早く実施する。
3) 養生期間中は,車両等の荷重が加わらないようにする。
4) 転圧コンクリート版では,転圧終了後のコンクリート版上を,小型車および作業車が低速で走行することは,表面を荒らしたりしない限り特に差し支えない。
5) 簡易な養生方法としては,散水マット養生が省略でき,初期・後期の一貫養生が可能な養生剤を散布する方法もある。
コンクリート舗装の手順

参照: (テキスト2章P85、87、88;「舗装工学」(土木学会)P248)(舗装施工便覧第6章)


【問 30】 各種の舗装の施工に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) グースアスファルト混合物を基層に用いる場合は、表層とのかみ合わせや流動抵抗性の向上のためプレコート砕石を散布し、圧入することもある。
 (2) 半たわみ性舗装の交通開放までの一般的な養生時間は、浸透用セメントミルクの種類により、普通タイプ約3日、早強タイプ約1日、超速硬タイプ約3時間である。
 (3) 表面処理工法のチップシールには、シールコートとアーマーコートがあり、路面の状態や交通の状況に応じて使い分ける。
 (4) ポーラスアスファルト混合物の二次転圧にタイヤローラを用いる場合には、骨材飛散を防ぐため、初転圧の終了直後、混合物温度が低下しないうちに行う。

解答と解説: 

解答--- (4)
【解説】ポーラスアスファルト混合物の初転圧は、一般に10〜12tのロードローラを使用する。二次転圧は初期転圧に使用したロードローラにより行うが、舗設条件に応じて6〜10tのロードローラを併用する場合もある。
 仕上げ転圧には、タンデムローラを使用する例と、タイヤローラを使用している例の2種類がある。表面のきめを整えて、混合物の飛散を防止するといった効果も期待して、タイヤローラを使用することが多い。
 タイヤローラによる転圧は、転圧温度が高すぎるとタイヤに混合物が付着しやすく、空隙つぶれの懸念もあることから、混合物の表面温度がタイヤローラに付着しない程度(70℃程度)になってから行うのが望ましい。
参照:(テキスト2章P114)(舗装施工便覧第7章)


【問 31】 橋面舗装の施工に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 橋面舗装の破壊は滞水によるアスファルト混合物の剥離が原因となることが多いため、舗設に先立ち、排水施設を確認する必要がある。
 (2) 防水層は、床版の耐久性を向上させるために設けるものであり、シート系、塗膜系、舗装系などがある。
 (3) コンクリート床版上の基層には、床版防水機能を有するグースアスファルト混合物を用いることが多い。
 (4) 表層にポーラスアスファルト混合物を用いる場合、基層は水にさらされるので、特に基層の剥離抵抗性に配慮する必要がある。

解答と解説: 

解答--- (3)
【解説】橋面舗装の主な施工上の留意点
コンクリート床板 ・耐水に起因するアスファルト混合物の剥離が原因の破損を防止するため、舗装に先立って水抜き孔等の排水施設の有無および位置(雨水等が集まる所)を確認しておく。
・接着層は床板と防水層または基層とを付着させ、一体化させるために設ける。コンクリート床版では一般のアスファルト乳剤のほかに,ゴム入りアスファルト乳剤や接着力を高めた溶剤型のゴムアスファルト系接着剤,ゴム系接着剤などを用いる。鋼床版では溶剤型のゴムアスファルト系接着剤を用いることが多い。
・一般にコンクリート床版の場合は下層(基層)に粗粒度アスファルト混合物を、鋼床版にはグースアスファルト混合物を用いる。
参照:(テキスト2章P123;「漫画で学ぶ舗装工学」各種の舗装編P259、260)(舗装施工便覧第9章)


【問 32】 セットフォーム工法によるコンクリート版の施工機械に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 粗面仕上げ機械には、ほうき目仕上げ機械、タイングルーバおよび骨材露出機械があり、ほうき目仕上げ機械には、養生剤散布機械を兼ねるものもある。
 (2) 平たん仕上げ機械には、ブレード型スプレッダ、ボックス型スプレッダおよびスクリユ型スプレッダがある。
 (3) 荷下ろし機械には横取り型と縦取り型があり、前者は舗設車線外に荷下ろしのための余裕幅がある場合に用いられる。
 (4) 締固め機械は、敷きならされたコンクリートを表面から締め固め、荒仕上げできるものとし、一般的にはコンクリートフィニッシャが用いられる。

解答と解説: 

解答--- (2)
【解説】 コンクリート舗装用施工機械を下表に示す。スプレッダは敷均し機械であり、平たん仕上げ機械はレベリングフィニッシャを用いる。
コンクリート舗装用機械

参照:(テキスト2章P84)(舗装施工便覧第4章)


【問 33】 舗装用機械に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) スリップフォームペーバは、コンクリートの敷きならし、締固め、荒仕上げおよび平たん仕上げの一連の作業を1台で行うことができる。
 (2) タンデム型(鉄輪)の振動ローラは、無振で使用してロードローラの代替機として用いることができる。
 (3) シックリフト工法による瀝青安定処理路盤材料の敷きならしには、アスファルトフイニッシャのほかにブルドーザやモーターグレーダを用いることがある。
 (4) アスファルトフイニッシャによる敷きならし厚さの管理は、ダブルタンパの上下動によって行うことができる。

解答と解説: 

解答--- (4)
【解説】アスファルトフィニッシャによる敷きならし厚さの管理は、スクリードの高さ調整によって行うが、舗設個所の両側に型枠を設置して調整する方法やセンサを取り付け自動調整する方法もある。タンパの上下動による作用は締固め作業で、フィニッシャでの締固め度は、一般に基準密度の90%程度であり、その後ローラによる締固めで、締固め度の管理をする。
参照: (テキスト2章P73)(舗装施工便覧第4章)


【問 34】 既設舗装の調査および評価に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) コンクリート版目地部の荷重伝達率は、3mプロフィルメータによる測定によって算出する。
 (2) 開削調査は、路床・路盤とアスファルト混合物層下面を比較的広範囲にわたって直接確認できるので、的確な修繕工法を選定することができる。
 (3) アスファルト舗装では、FWDで路面たわみ量を測定することで、舗装の支持力が十分であるのか、また解析によりどの層が損傷しているかを推定できる。
 (4) 舗装の維持管理指数であるMCIは、ひび割れ率、わだち掘れ深さ、平たん性を用いて算出する。

解答と解説: 

解答--- (1)
【解説】 舗装構造の性能の変化を経時的に調査する方法としては、各種のものがあるが、なかでも、たわみ測定による方法が最も一般的であり、測定装置としては、ベンケルマンビ−ムやフォーリング・ウエイト・デフレクトメータ(FWD)などがある。3mプロフィルメータは平たん性の測定に用いられる。
参照:(テキスト2章P134)(舗装維持修繕ガイドブック第3章)


【問 35】 既設アスファルト舗装の破損に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) コルゲーションは、道路縦断方向に生じる比較的短い波長で連続的な波状の凹凸であり、アスファルト混合物の不良や混合物層間の接着不良などにより発生する。
 (2) ブリスタリングは、舗装表面にアスファルトがにじみ出す現象で、アスファルト混合物のアスファルト量が多すぎることなどにより発生する。
 (3) 疲労ひび割れは、交通荷重によりアスファルト混合物層の下面に生じる引張りひずみの繰り返しにより発生する。
 (4) 温度応力ひび割れは、温度変化に伴う伸縮の繰り返しによって生じ、特に低温となる地域において発生する。

解答と解説: 

解答--- (2)
【解説】  ブリスタリング (2)はブリージングの説明である。鋼床版上に直接グースアスファルト混合物を舗設する場合、床版面に錆、泥、油などがあったり、乾燥が不十分な場合には混合物の敷きならし後に水分油分等が蒸発・気化し舗装版を押し上げる現象(ブリスタリング)が発生することがある。なお、ブリスタリングは、コンクリート床板上でも、上部の混合物層が水密性に富む場合は発生することがある。
参照:(テキスト2章P127,135) (「漫画で学ぶ舗装工学」各種の舗装編P259、260) (舗装設工便覧9章)


【問 36】既設アスファルト舗装の破損と補修工法の選定に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) ひび割れ率が30%の損傷が発生し、その原因がアスファルト混合物の劣化・老化であったため、表基層打換え工法を選定した。
 (2) わだち掘れ深さが30mmの損傷が発生し、その原因がアスファルト混合物の摩耗であったため、切削オーバーレイ工法を選定した。
 (3) わだち掘れ深さが40mmの損傷が発生し、その原因がアスファルト混合物の塑性変形であったため、わだち部オーバーレイ工法を選定した。
 (4) ひび割れ率が40%の損傷が発生し、その原因が路床・路盤の支持カ低下であったため、打換え工法を選定した。

解答と解説: 

解答--- (3)
【解説】 わだち部オーバーレイ工法は、既設舗装のわだち掘れ部のみを加熱アスファルト混合物で舗設する工法で、主に摩耗等によってすり減った部分を補うものであり、流動によって生じたわだち掘れ(塑性変形)には適さない。
参照:(テキスト2章P138,139) (舗装設工便覧11章)


【問 37】 アスファルト舗装の補修工法に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 局部打換え工法は、既設舗装の破損が局部的に著しい場合、表層、基層あるいは路盤から局部的に打ち換えるものである。
 (2) 路上表層再生工法は、既設アスファルト混合物層と路盤層のかきほぐしを行い、セメントやアスファルト乳剤を混合し、新たな層を構築するものである。
 (3) シール材注入工法は、ひび割れにシール材を充填するもので、加熱アスファルト系、アスフアルト乳剤系などの材料が用いられる。
 (4) 表面処理工法は、既設舗装の上に薄い封かん層を設けるもので、アスファルト乳剤系、アスファルト混合物系などの材料が用いられる。

解答と解説: 

解答--- (2)
【解説】 アスファルト舗装の主な補修工法を以下に示す。
工  法
概   要
打換え工
(再構築含む)
・既設舗装の路盤もしくは路盤の一部までを打ち換える工法。
・状況により路床の入れ換え,路床または路盤の安定処理を行うこともある。
局部打換え工法 ・既設舗装の破損が局部的に著しく,その他の工法では補修できないと判断されたとき,表層,基層あるいは路盤から局部的に打ち換える工法。
・通常表層・基層打換え工法やオーバーレイ工法の際,局部的にひび割れが大きい箇所に併用することが多い。
路上路盤再生工法 ・既設アスファルト混合物層を,現位置で路上破砕混合機等によって破砕すると同時に,セメントやアスファルト乳剤などの添加材料を加え,破砕した既設路盤材とともに混合し,締め囲めて安定処理した路盤を構築する工法。
路上表層再生工法 ・現位置において,既設アスファルト混合物層の加熱,かきほぐしを行い,これに必要に応じて新規アスファルト混合物や,再生用添加剤を加え,混合したうえで敷きならして締め固め,再生した表層を構築する工法。
シール材注入工法 ・比較的幅の広いひび割れに注入目地材等を充填する工法。
・予防的維持工法として用いられることもある。
・注入する材料として一般的に用いられるのは加熱型であり,エマルジョン型,カットバック型,樹脂型などの種類もある。
・ひび割れの幅や深さに適した材料が使用されている。
表面処理工法 ・既設舗装の上に,加熱アスフアノレト混合物以外の材料を使用して, 3cm未満の封かん層を設ける工法
・予防的維持工法として用いられることむあり,次のような工法が含まれる。@チップシール、Aスラリーシール、Bマイクロサーフェシング、C樹脂形表面処理

以上から明らかのように、(2)は路上路盤再生工法の説明である。
参照:(テキスト2章P138,139) (舗装設工便覧11章)


【問 38】 施工計画に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 受注者は、工事着手前に工事目的物を完成するために必要な手順や工法などについての施工計画書を監督職員に提出しなければならない。
 (2) 施工計画書は、工事規模に応じたものでよく、既に標準化されている事項などについては記述を簡略化しでもよい。
 (3) 発注者は、施工計画書と契約書および設計図書に示される内容に対して受注者と協議し、必要に応じて設計変更を行う。
 (4) 変更施工計画とは、施工計画の内容に重要な変更が生じた場合に作成するものであり、工期末の精算変更などがこれに該当する。

解答と解説: 

解答--- (4)
【解説】 施工計画書記載する必要のあるのは次の事項である。
@工事概要、A計画工程表、B現場組織表、C指定機械、D主要船舶・機械、E主要資材、F施工方法(主要機械、仮設備計画、工事用地等を含む)、G施工管理計画、H安全管理、I緊急時の体制及び対応、J交通管理、K環境対策、L現場作業環境の整備、M再生資源の利用の促進と建設副産物の適正処理方法、Nその他
 従って、工期末の精算変更は含まない。
参照:(テキスト3章P12,16)(共通仕様書第1編)


【問 39】 仮設備計画に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 受注者は、常時10人以上の労務者が寄宿する宿舎を設置する場合、所定の書類を労働基準監督署に届け出なければならない。
 (2) 用地の面積が4ha以下で地目が農地(田・畑)であるときは、転用許可申請書を用地の所在する農業委員会に提出して、農林水産大臣の許可を受ける必要がある。
 (3) 任意仮設とは、工事目的物を施工するにあたり、受注者の責任において自由に施工を行うことができるもので、原則として設計変更の対象外である。
 (4) 直接仮設とは、本工事に必要な仮設備であり、資材などの搬入に必要な工事用道路、支保工足場、材料置場などがこれに該当する。

解答と解説: 

解答--- (2)
【解説】 農地を転用(農地以外のものにすること。)する場合又は農地を転用するため権利の移転等を行う場合には、原則として都道府県知事又は指定市町村の長の許可が必要です。ただし、許可権者が、4ヘクタールを超える農地の転用を許可しようとする場合には、あらかじめ農林水産大臣(地方農政局長)に協議すること。
参照:(テキスト3章P10,11)(農地法第4条、第5条)


【問 40】 工程管理に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 工程管理は、工期、品質、採算性などに大きな影響を与える管理項目であり、工事の進行とともに適切な改善処置を実施する必要がある。
 (2) 工程計画の立案に当たっては、工事着手後の状況変化や天候などにより計画に遅延などが発生することを想定して、その原因や対策を十分に検討する。
 (3) 工程管理では、工種ごとの工程の組み合わせのみを管理するのではなく、労働力、機械設備、資材などを効率的に活用する手段を追求する。
 (4) 工程管理の手順の管理サイクル(PDCA)でのD(実施)は、実施工程と計画工程の差異を把握することである。

解答と解説: 

解答--- (4)
【解説】 工程管理は、工事の生産過程を管理するものであるから、工種ごとの工程の組み合わせを管理するのみでなく、労働力、機械設備、資材等の生産要素を最も効率よく活用する手段を追求していくことが必要である。
 工程管理の手順と内容は、計画→実施→検討→改善の各段階に分け、それぞれの項目は次のとおりである。
PDCA 1) 計画−実施工程表の作成(Plan)
2) 実施−工事施工(Do)
3) 検討−進捗状況のチェック(Check)
4) 改善−施工体制、施工方法の見直し、工程計画の見直し(Action)
 上記のとおり、工程管理は、工期、品質、出来形、採算性等に大きな影響を与える管理項目であり、常に計画工程と実績工程を対比(Check)しながら、工事の進行とともに適切な改善処置を行わなければならない(Action)。また、設計や数量の変更が行われた場は、変更工程表を作成する。
参照:(テキスト3章P35)(道路工事現場工務ハンドブック)

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平成28年度 舗装施工管理技術者試験  学科試験 1級一般問題_問01〜問20
1級一般問題_問41〜問60
2級一般問題_問01〜問20
2級一般問題_問21〜問40
平成28年度 舗装施工管理技術者試験  応用試験 1級応用問題
2級応用問題