平成29年度 1級舗装施工管理技術者資格試験  一般 試験問題(1/3)

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【問 1】 軟弱地盤の対策工法に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 表層排水工法は、表層部にトレンチを設置することにより、施工機械のトラフィカビリティを確保する工法である。
 (2) 盛土載荷重工法は、構造物の建設前に軟弱地盤に荷重をあらかじめ載荷させておくことにより、粘土層の圧密を進行させ、残留沈下量の低減や地盤の強度増加を図る工法である。
 (3) サンドマット工法は、地盤表層に砂を敷きならすことにより、軟弱層の圧密のための上部排水を確保する工法である。
 (4) 静的圧入締固め工法は、流動性の低い注入材を地盤中に強制的に圧入し、粘性土地盤を締め固める工法である。

解答と解説: 

解答--- (4)

【解説】CPG工法
流動性の低い注入材を地盤中に強制的に圧入し、砂質地盤を締め固めることで液状化の防止を図る工法(右図)である。

流動性の低い注入材はスランプ5cm以下の極めて流動性の低いセメントモルタルで、これを地盤中に@削孔後、A圧入する。圧入されたモルタルは低い流動性のため所定の位置に固定され、固結体となり周辺地盤を圧縮し,密度を増大させることで、液状化地盤を液状化しにくい地盤へと改良する。

参照:(テキスト1章P14)(道路土工−軟弱地盤対策工指針6章6-2参照)
 


【問 2】 擁壁に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 片持ばり式擁壁は、躯体自重とかかと版上の土の重量によって土圧に抵抗する。
 (2) 重力式擁壁は、躯体自重によって土圧に抵抗し、躯体断面には引張応力が生じないような断面とする。
 (3) 山留め式擁壁は、裏込め部に敷設された補強材と裏込め材との摩擦抵抗力によって壁面を保つものである。
 (4) もたれ式擁壁は、地山または切土部にもたれた状態で自重のみで土圧に抵抗する。

解答と解説: 

解答--- (3)

【解説】(3)の説明は補強土擁壁で、山留め式擁壁の説明では無い。山留め式擁壁は壁面の曲げ剛性と水平抵抗によって安定を保つ形式の擁壁(下図参照)で、アンカー付きと自立式の2種類に分類できる。
山留め擁壁
補強土擁壁
 自立式でポピュラーに見られるのは下水道工事等で用いられる土留め壁(上図)がある。
 補強土擁壁の1事例(テールアルメ)を右図に示す。

参照:(テキスト1章P25〜29)(道路土工−擁壁工指針1章、資料-1)

【問 3】 高速自動車国道における視線誘導標に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 反射体の色は、本線左側路側が橙色、ランプは白色とする。
 (2) 原則として全線連続して視線誘導標を設置するものとする。ただし、道路照明施設がある場合は設置を省略することができる。
 (3) 反射体の形状は丸形とし、大きさは直径100oとする。
 (4) 設置高さは、本線左側路側に設置する場合、路面上から反射体の中心まで120p、その他の場所に設置する場合は90pを標準とする。

解答と解説: 

解答--- (1)

【解説】以下に示すとおり、ランプの色は橙色と決められている。 視線誘導標
視線誘導標設置基準では、高速自動車国道等について以下の通り決められている。
3−2 高速自動車国道等
3−2−1 設置区間
高速自動車国道等には、原則として全線連続して視線誘導標を設置するものとする。ただし、道路照明施設がある場合は設置を省略することができる。
3−2−2 設置方法
(1) 設置場所等
視線誘導標の設置場所並びに反射体の色、個数、配列及び大きさは次表に示すとおりとするものとする。

表 視線誘導標の設置場所等
               
視線誘導標の設置場所        反 射 体
  色個数と配列大きさ(mm)
本線左側路側 白 色 単 眼 直 径 100
中央分離帯及び本線右側路側 橙 色 単 眼 直 径 100
ランプ 橙 色 単 眼 直 径 100
変 速 車 線 橙 色複眼縦配列直 径 100

(2) 設置間隔
視線誘導標相互の設置間隔は、道路の線形等を勘案し定めるものとする。
ただし、最大設置間隔は50mとするものとする。
(3) 設置位置及び設置高さ
1) 視線誘導標の設置位置は、建築限界の外側直近とするものとする。
2) 視線誘導標の設置高さは、本線左側路側に設置する場合路面上から反射体の中心まで120cm、その他の場所に設置する場合、路面上から反射体の中心まで90cmを標準とするものとする。
参照:(テキスト1章P37)(視線誘導標設置基準)


【問 4】 土工用建設機械に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 振動ローラは、振動によって土の粒子を密な配列に移行させ、小さな重量で大きな締固め効果が得られる。
 (2) タイヤローラは、バラストの載荷によって総重量を変化させることができるので、岩塊や岩片が混入した土でも安定した走行が可能である。
 (3) バックホウは、機械が設置された地盤より低い所を掘削するのに適した機械で水中掘削もできる。
 (4) ブルドーザによる押土運搬では、走行抵抗を減ずるため下り勾配で作業することが望ましい。

解答と解説: 

解答--- (2)

【解説】締固め作業及び締固め機械
盛土の構成部分と土質に応じた締固め機械の選定については、下表に示すとおりであり、標準的な組み合わせとして選定される。
1) ロードローラ ロードローラ
 マカダム型とタンデム型とがある。舗装及び路盤用として多く用いられ、土工では主に路床面等の仕上げに用いる。高含水比の粘性土あるいは均一な粒径の砂質土等には適さない。

締固め機械の選定

2) タイヤローラ タイヤローラ
 空気入りタイヤの特性を利用して締固めを行うもので、タイヤの接地圧は載荷重及び空気圧により変化させることができる。タイヤ圧は締固め機能に直接関係するもので、一般に砕石等の締固めには接地圧を高くして使用し、粘性土等の場合には接地圧を低くして使用している。注意すべきことは、@バラスト(水、または鉄等)を載荷することによって、総重量を3t〜35t程度に変化させることができるが、盛土材料の土質により締固めエネルギーを適切に調整すること、A岩塊や岩片が混入した土では走行が不安定になり、ある程度以上のものは取り除く必要があること、などである。
3)振動ローラ 振動ローラ
 振動ローラは、一般に粘性に乏しい砂利や砂質土の締固めに効果があるとされている。一般に岩や礫の締固めには、重い機械で高振動数のものがよいとされている。また、機種によっては粘性土に対しても効果がある。
 特に大型の振動ローラは深さ方向への締固め効果が他の機種に比べ良好なので、各締固め層内の下層が十分に締め固まっていることを確認した上で敷均し厚さを大きくすることができる。使用上注意すべき点は、@ローラの重量と土の性質に見合った振動数や起振力によって締め固めること、A振動ローラは岩塊や岩片が混入した土ではスリップにより走行不能に陥りやすいこと、などである。
4) タンピングローラ タンピングローラ
 タンピングローラは突起の先端に荷重を集中することができるので、土塊や岩塊等の破砕や締固めに効果がある。粘質性の強い粘性土の締固めにも効果的といわれているが、鋭敏比の大きい高含水比粘性土では突起による土のこね返しによって、かえって土を軟弱化させるので注意が必要である。タンピングローラは優れた締固め機械として、フィルダム等の大土工現場等で使用されてきたが、道路土工での使用例は少ない。
参照: (テキスト1章P10、11)(道路土工−盛土工指針5章参照)

【問 5】 公共工事標準請負契約約款の内容に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
 (1) 受注者は、工事の施工に当たり、工事現場の形状等設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と工事現場が一致しないときは、その旨を直ちに監督員に通知し、その確認を請求しなければならない。
 (2) 発注者は、必要があると認められるときは、工期若しくは請負代金額を変更し、又は受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。
 (3) 発注者は、工事用地その他設計図書において、定められた工事の施工上必要な用地を受注者が工事の施工上必要とする日までに確保しなければならない。
 (4) 設計図書に示された施工条件と実際の工事現場が一致しない場合で、工事目的物の変更を伴わないものは、受注者が設計図書を訂正又は変更を行わなければならない。

解答と解説: 

解答--- (4)
【解説】 公共工事標準請負契約約款(条件変更等)
第十八条 受注者は、工事の施工に当たり、次の各号のいずれかに該当する事実を発見したときは、その旨を直ちに監督員に通知し、その確認を請求しなければならない。
一 図面、仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書が一致しないこと(これらの優先順位が定められている場合を除く)。
二 設計図書に誤謬又は脱漏があること。
三 設計図書の表示が明確でないこと。
四 工事現場の形状、地質、湧水等の状態、施工上の制約等設計図書に示された自然的又は人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しないこと。
五 設計図書で明示されていない施工条件について予期することのできない特別な状態が生じたこと。
2 監督員は、前項の規定による確認を請求されたとき又は自ら同項各号に掲げる事実を発見したときは、受注者の立会いの上、直ちに調査を行わなければならない。ただし、受注者が立会いに応じない場合には、受注者の立会いを得ずに行うことができる。
3 発注者は、受注者の意見を聴いて、調査の結果(これに対してとるべき措置を指示する必要があるときは、当該指示を含む。)をとりまとめ、調査の終了後〇日以内に、その結果を受注者に通知しなければならない。ただし、その期間内に通知できないやむを得ない理由があるときは、あらかじめ受注者の意見を聴いた上、当該期間を延長することができる。
4 前項の調査の結果において第一項の事実が確認された場合において、必要があると認められるときは、次の各号に掲げるところにより、設計図書の訂正又は変更を行わなければならない。
一 第一項第一号から第三号までのいずれかに該当し設計図書を訂正する必要があるもの 発注者が行う。
二 第一項第四号又は第五号に該当し設計図書を変更する場合で工事目的物の変更を伴うもの 発注者が行う。
第一項第四号又は第五号に該当し設計図書を変更する場合で工事目的物の変更を伴わないもの 発注者と受注者とが協議して発注者が行う。
5 前項の規定により設計図書の訂正又は変更が行われた場合において、発注者は、必要があると認められるときは工期若しくは請負代金額を変更し、又は受注者に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない。

参照: (テキスト3章P8) (公共工事標準請負契約約款18条)


【問 6】 設計図書に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。
 (1) 工事材料の品質は、設計に定めるところによるが、設計図書にその品質が明示されていない場合は、中等の品質を有するものとする。
 (2) 発注者は、必要があると認めるときは、施工計画書の変更内容を受注者に通知して、施工計画書を変更しなければならない。
 (3) 仮設や施工方法などは、契約書および設計図書に特別の定めがある場合を除き、発注者がその責任において定めるものとする。
 (4) 設計図書は、工事目的物の形状などを示す図面、現場説明書および現場説明に対する質問回答書から構成されるものである。

解答と解説: 

解答--- (1)

【解説】公共工事標準請負契約約款の第十三条第1項では、「工事材料の品質については、設計図書に定めるところによる。設計図書にその品質が明示されていない場合にあっては、中等の品質を有するものとする。」とある。
(2) 施工計画書の変更ではなく、設計図書の変更を受注者に通知し、変更することができる。
(3) 第一条第3項「仮設、施工方法その他工事目的物を完成するために必要な一切の手段(以下「施工方法等」という。)については、この約款及び設計図書に特別の定めがある場合を除き、受注者がその責任において定める。
(4) 第一条第1項「発注者及び受注者は、この約款(契約書を含む。以下同じ。)に基づき、設計図書(別冊の図面、仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書をいう。以下同じ。)に従い、日本国の法令を遵守し、この契約(この約款及び設計図書を内容とする工事の請負契約をいう。以下同じ。)を履行しなければならない。」

参照: (テキスト3章P4) ( 公共工事標準請負契約約款)


【問 7】 路線測量に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 縦断測量は、中心杭高及び中心線上の地形変化点の地盤高や主要な構造物の標高を求める作業をいう。
 (2) 中心線測量は、路線選定の結果に基づき、地形図上の交点の位置を座標として定める作業をいう。
 (3) 仮BM設置測量は、縦断測量及び横断測量に必要な水準点を現地に設置し、標高を定める作業をいう。
 (4) 用地幅杭設置測量は、取得等に係る用地の範囲を示すため所定の位置に用地幅杭を設置する作業をいう。

解答と解説: 

解答--- (2)

【解説】中心線測量……道路の中心線を定める測量で、道路工事を始めるにあたっての基本的な測量で、路線選定の結果に基づき、地図上のIPの位置を座標として定めるものである。
   設問(2)の説明は;準則第390条 「線形決定」とは、「路線選定の結果に基づき、地形図上の交点(以下「IP」という。)の位置を座標として定め、線形図データファイルを作成する作業をいう。」から、線形決定の記述である。

参照: (テキスト1章P60)(公共測量作業規程の準則第390条)


【問 8】 道路土工に用いる土質試験に関する次の組合せのうち、不適当なものはどれか。
 (1) ポータブルコーン貫入試験・・・・粘着力・・・・・・・・・・・・・・・・基礎地盤の安定性
 (2) 液性限界・塑性限界試験・・・・・コンシステンシー指数・・・・地盤の液状化
 (3) 平板載荷試験・・・・・・・・・・・・・地盤反力係数・・・・・・・・・・・基礎地盤の支持力
 (4) 標準貫入試験・・・・・・・・・・・・・N値・・・・・・・・・・・・・・・・・・・基礎地盤の支持力

解答と解説: 

解答--- (1)

【解説】 ポータブルコーン貫入試験は現位置での地盤の貫入抵抗(せん断強さ)を測定するもので、一般に作業機械・車両等のトラフィカビリティを判定する。従って不適当である。
 設問は現位置試験と室内試験(液性限界・塑性限界試験)に分けて出題されている。
 土や岩の工学的性質は、現場から採取した乱さない試料を試験することによって明らかにできる。しかし、採取した試料では地中応力の解放など避けられない要素もある。また、すべての土や岩から乱さない試料を採取できるわけではない。従って室内試験からだけでは、原位置の土の工学的性質を把握することは困難である。このように採取した試料の室内試験では、不十分あるいは確認困難な地盤の状態や性質を調べるのが原位置試験である。土工の調査で主として用いる原位置試験を表に示す。土質試験としては、液性限界・塑性限界試験が示されているので、以下に考察する。

表 サウンディング方法及び原位置試験の特徴
                                                                                                                                                                                            
方法試験の名称測定値試験結果の利用特徴
静的弾性波探査地盤の弾性波速度V地層の種類,性質
成層状況の推定
岩質の推定により施工機械計画の立案が可能
電気探査地盤の比抵抗値地下水の分布等の推定地山や盛土の含水状態の把握が可能
単位体積質量試験湿潤密度ρt 乾燥密度ρd締固めの施工管理砂置換法 またはカッター法
スウェーデン式サウンディングWSWおよびNSW土の硬軟,締まりぐあいの判定標準貫入試験に比べ作業が簡単
ベーン試験粘着力c細粒土の斜面や基礎地盤の安定計算土の現位置におけるせん断試験
ポータブルコーン貫入試験貫入抵抗(コーン指数)qc
せん断強さ
トラフィカビリティの判定軟弱地盤の比較的浅い層の土質調査も可
平板載荷試験地盤反力係数 K締固めの施工管理、支持力評価道路鋪装の設計や盛土の締固め管理に適用
孔内水平載荷試験水平方向の変形係数 E地盤の水平方向の変形特性N値、砂の内部摩擦角等が推定できる
現場透水試験透水係数 k透水関係の設計計算;地盤改良工法の設計自然地盤での測定で値の信頼度は高い
動的標準貫入試験N値土の硬軟,締まりぐあいの判定基礎地盤判定では、硬・軟、密等広く用いる
簡易動的コーン貫入試験Nd;(所定の打撃回数)N値と同等の判定方法地盤表層部の調査、小規模建物の支持力判定

 液性限界試験・塑性限界試験は、土のコンシステンシー(固体と液体の含水量によって変わる硬さ)を測定する試験である。
 土は塑性状態から、さらに水を加えると液性状態になるが、この限界の含水比を液性限界(wl)といい、また、塑性状態の土が水分を失っていくときの塑性状態から半固体状になる限界を塑性限界(wp)という。
 上記の液性限界試験・塑性限界試験結果から得られる応用の諸指数としては塑性指数、タフネス指数、コンシステンシー指数がある。
 塑性指数(IpまたはPI)は液性限界と塑性限界の差(Ip = wl−wp)で表わされる。
 設問に示されるコンシステンシー指数は液性限界と自然含水比(w)との差と塑性指数との比{Ic = (wl−w)/Ip }で示される。これは粘性土の相対的な硬さや安定度を意味するが、Ic≧1の場合自然含水比が塑性限界に近いかあるいはそれ以下となり、比較的安定した状態と言える。Ic≒0の場合は自然含水比が液性限界に近く、このような土を乱せば液状化することになることを示している。著しく不安定化する危険性のあることを示している。更にIc<0の場合、見かけとは異なり内部では既に液状化している。わずかな刺激で一気に液状化が顕在となる(クイック・クレイ;揺さぶるだけで泥水になる粘土)。
参照: (テキスト1章P63〜68)(道路土工−軟弱地盤対策工指針第3章;土質試験法)

【問 9】 路床の支持力評価に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 置換材料に良質な粒状材料を使用する場合は、修正CBRによって評価してよい。
 (2) 自然地盤の層および改良した層のCBRの上限は設けなくてもよい。
 (3) 路床の土質が均一の区間で、極端なCBR値が得られた場合は棄却判定を行う。
 (4) 置換材料のCBRは、設計CBRを求める際のCBR試験によって評価を行う。

解答と解説: 

解答--- (2)

【解説】路床の評価に関する留意点は以下の通りである。
・CBRが3未満の路床を改良した場合、その施工厚から20p減じたものを有効な路床改良層として扱う。
・安定処理の場合、改良した層の下から20pの層は安定処理した層のCBRと従来路床土と同じCBRとの平均値をその層のCBRとする。
・置き換えの場合、置き換えした層の下から20pの層は従来路床土と同じCBRとする。
改良した層のCBRの上限は20とする。
・自然地盤の層については,CBRの上限は設けない。
・置換材料のCBRは、本来、設計CBRを求める際のCBR試験によって評価を行う。
・良質な盛土材料や砕石等の粒状材料を使用する場合、その材料の修正CBRによって評価してよい。
・データに極端な値が得られた場合、路床の土質が同一の区間で極端な値が得られた地点では試験法などに誤りがなかったかどうかを確認する。
・極端な値として棄却する必要があるか、あるいは局所的に改良する必要があるか、またはその付近の舗装厚を変える必要があるかなどを判断しなければならない。

参照:(テキスト2章P21,22,23)(舗装設計便覧第5章)


【問 10】 舗装の設計に関する次の記述のうち、不適当なものどれか。
 (1) 疲労破壊抵抗性に着目した構造設計方法には、経験にもとづく設計方法および理論的設計方法などがある。
 (2) 理論的設計方法では、TA法による場合で必要となる等値換算係数の設定が不要で、新材料・新工法を検討しやすい。
 (3) 舗装の性能指標の値は施工直後の値とするが、必要に応じ、供用後一定期間を経た時点での値を設定する場合がある。
 (4) 舗装計画交通量は、一方向2車線の道路においては、大型自動車の一方向当たりの日交通量の70%が1車線を通過するものとして算定する。

解答と解説: 

解答--- (4)

【解説】舗装計画交通量
1 )普通道路
 普通道路における舗装計画交通量とは,舗装の設計期間内の大型自動車の平均的な交通量のことであり,道路の計画期間内の最終年度の自動車交通量として規定される計画交通量とは異なる。
 この舗装計画交通量は,一方向2車線以下の道路においては,大型自動車の一方向当たりの日交通量のすべてが1車線を通過するものとして算定する。一方向3車線以上の道路においては,各車線の大型自動車の交通の分布状況を勘案して,大型自動車の方向別の日交通量の70〜100%が1車線を通過するものとして算定する。
2 )小型道路
 小型道路における舗装計画交通量とは,舗装の設計期間内の小型貨物自動車の平均的な交通量のことである。
 この舗装計画交通量は,小型貨物自動車の一方向当たりの日交通量のすべてが1車線を通過するものとして算定する。

参照:(テキスト2章P10,17,19)(舗装設計便覧第5章;舗装設計施工指針第2章)


【問 11】 ある区間で5地点のCBRmを求めたところ、4.6、6.6、4.5、6.0、3.3であった。このとき、この区間のCBR( @ )と設計CBR( A )の組合せとして正しいものは次のうちどれか。ただし、これらの5地点のCBRmの標準偏差は1.3とし、棄却の必要はないものとする。
 (1) @ 3.7   A 4
 (2) @ 5.0   A 3.7
 (3) @ 3.7   A 3
 (4) @ 4    A 3

解答と解説: 

解答--- (3)

【解説】区間のCBRは次式で求める。
  区間のCBR=各地点のCBRの平均値−各地点のCBRの標準偏差(σn-1)
従って、区間のCBR=(4.6+6.6+4.5+6.0+3.3)/ 5 ― 1.3 =25/5―1.3=3.7

区間のCBRと設計CBRの関係                          
  区間のCBR   設計CBR  
(2以上3未満)
3以上4未満
4以上6未満
6以上8未満
8以上12未満
12以上20未満
20以上
(2)




12
20
〔注〕( )内は、打換え工事などで既存の路床の
  設計CBRが2であるものの、構築路床を設け
ることが困難な場合に適用する。

     以上から「この区間のCBR( 3.7 )と設計CBR( 3 )」が正答
参照: (テキスト2章P21,22)( 舗装設計便覧第5章)


【問 12】 コンクリート舗装の補修の構造設計に関する次の記述のうち、不適当ものはどれか。
 (1)  打換え工法には、コンクリート舗装とアスファルト舗装によるものがあるが、いずれの場合も、補修時の舗装断面の設計は、新設の場合に準拠して行う。
 (2)  版厚の設計は、舗装計画交通量に応じ、コンクリート版の設計基準圧縮強度をもとにして行う。
 (3)  既設舗装の構造評価方法には、既設コンクリート版の破損状況にもとづいてアスファルト舗装の場合の残存等値換算厚に準じて行う方法がある。
 (4)  コンクリート版の厚さは、車両の輪荷重によって生じる応力と温度応力で決定される。

解答と解説: 

解答--- (2)

【解説】経験にもとづく設計方法によるコンクリート舗装の構造設計のおおまかな手順は,基盤条件である路床の設計支持力係数あるいは設計CBRをもとにして路盤面における所要の支持力係数が得られるように路盤の厚さを設定し,さらに舗装計画交通量および使用する舗装用コンクリートの設計基準曲げ強度に応じてコンクリート版の厚さを設定する。その他コンクリート版厚の設定に配慮すべきものとして、環境、交通等条件等によって発生する応力、例えば温度変化によって発生する温度応力,輪荷重による応力などがある。

参照: (テキスト2章P30)(舗装設計便覧第6章)


【問 13】 各種の舗装に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 明色機能を有する舗装は、夏期に路面の温度上昇を抑えることができるため、耐流動性が期待できる。
 (2) 騒音低減機能を有する舗装には、ポーラスアスファルト舗装だけでなく、小粒径骨材露出舗装や弾力性舗装もある。
 (3) 透水機能を有する舗装には、透水性舗装だけでなく、自然の被覆状態を模倣した土系舗装や緑化舗装もある。
 (4) 凍結抑制機能を有する舗装は、路面の凍結を抑えることができるため、凍上抑制効果も期待できる。

解答と解説: 

解答--- (4)

【解説】寒冷地域の舗装では、凍結深さから必要置き換え深さと舗装の厚さとを比較し、もし置き換え深さが大きい場合は、路盤の下にその厚さの差だけ、凍上の生じにくい材料の層を設ける。この部分を凍上抑制層と呼び、路床の一部と考える。凍上抑制層は,原地盤を所定の深さまで掘削し,掘削面以下の層をできるだけ乱さないように留意しながら,良質土または凍上抑制効果のある材料を敷きならし,締め固めて仕上げる。凍上抑制層の一層の敷きならし厚さは,仕上がり厚で20cm以下を目安とする。
 一方、凍結抑制舗装は、化学系の凍結抑制材料や弾性のある物理系の凍結抑制材料をアスファルト混合物に混入したり、表面に施した舗装である。走行車両の安全性、除雪作業の効率化に効果があり、主に積雪寒冷地の勾配の大きな箇所、交差点内やその周辺等に用いられる。凍結抑制舗装は化学的な工法と物理的な工法に分けられる。
 以上のように、凍結抑制機能を有する舗装は舗装表面(路面)を対象として処理する工法であり、凍上抑制舗装は凍上深まで対処する工法で、対処する位置が異なる。

参照: (テキスト2章P23)(舗装施工便覧第5章)


【問 14】 アスファルト混合物に用いる材料に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 天然砂は、川砂、山砂および海砂などに分かれ、海砂には塩分が含まれており、アスファルト混合物の品質に影響を及ぼすので使用を控える。
 (2) 回収ダストは、アスファルトプラントで加熱アスファルト混合物を製造する際に、ドライヤなどで加熱された骨材から発生する、粉末状のものをいう。
 (3) 鉄鋼スラグには、高炉スラグと製鋼スラグがあり、加熱アスファルト混合物用骨材には、一般に製鋼スラグが使用される。
 (4) 再生骨材には、アスファルトコンクリート再生骨材とセメントコンクリート再生骨材があり、再生加熱アスファルト混合物にはアスファルトコンクリート再生骨材が使用される。

解答と解説: 

解答--- (1)

【解説】天然砂は採取場所によって川砂、山砂、海砂などに分かれる。天然砂は採取場所によって粒度が変化しやすいので、注意する必要がある。
 海砂には塩分が含まれているが、アスファルト混合物の品質には特に影響はない。ただし細粒化した貝殻が多く含まれている場合は、剥離の原因になるので注意が必要である。

参照: (テキスト2章P44)(舗装施工便覧3章)


【問 15】 舗装に用いる瀝青材料に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) トリニダッドレイクアスファルト(天然アスファルト)は、グースアスファルト混合物やロールドアスファルト混合物用アスファルトの改質材として用いられる。
 (2) 舗装用石油アスファルトの種類は、40〜60、60〜80、80〜100、100〜120に分類されており、80〜100は積雪寒冷地域で用いられることが多い。
 (3) 石油アスファルト乳剤の浸透用乳剤は、シールコートやアーマーコートなどの表面処理や、プライムコートあるいはタックコートに用いられる。
 (4) ポリマー改質アスファルトには、プラントミックスタイプとプレミックスタイプがあり、前者は、あらかじめアスファルトと改質剤を均一に混合したもので、通常ローリ車で供給される。

解答と解説: 

解答--- (4)

【解説】設問は、タイプの説明が真逆である。ポリマー改質アスファルトには2つのタイプがある。
@ プレミックスタイプ
あらかじめアスファルトブレンドメーカーの工場でアスファルトと改質材を均一に混合したもので、通常タンクローリー車でプラントへ供給される。
A プラントミックスタイプ
アスファルトプラントでアスファルト混合物を製造するときにミキサの中に直接改質材を乳状または粉末状の形で添加・混合する。

参照:(テキスト2章P38) (舗装施工便覧3章)


【問 16】 舗装の路盤用材料に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 製鋼スラグは、スラグ中に存在する石灰分が、水と反応して膨張する性質があるため、一定期間のエージングを行い、水浸膨張比が規格値を超えるものは使用してはならない。
 (2) 再生路盤材料には補足材(砕石、高炉徐冷スラグ、クラッシャラン、砂など)を加えて、所定の品質に調整した、再生クラッシャランや再生粒度調整砕石などがある。
 (3) 安定処理路盤材料のセメント安定処理材料は、下層路盤に用いられるものであり、上層路盤には使用してはならない。
 (4) 粒状路盤材料には、使用目的により強度および材質に規格が設けられており、強度としては修正CBR、材質として粒度、PI(塑性指数)などが定められている。

解答と解説: 

解答--- (3)

【解説】路床、路盤の施工では下表に示す築造工法が用いられる。
下表にあるように、セメント安定処理は構築路床、下層路盤、上層路盤に用いられる。

              
工 法\適 用路床下層路盤上層路盤
構築路床
セメント安定処理工法
石灰安定処理工法
置換工法  
粒状路盤工法  
粒度調整工法  
瀝青安定処理工法  
セメント・瀝青安定処理工法  

〔注1〕上記以外の工法でも、耐久性の確認されているものは
採用してもよい。
〔注2〕構築路床とは、目標とする盛土の最上部の支持力が確保
されるように構築した層、原地盤を安定処理工法等で支持力が
確保されるようにした層、原地盤の凍結融解に対する
影響を緩和させるために設ける凍上抑制層などをいう。

  1) 下層路盤
   下層路盤の築造工法には、粒状路盤工法、セメント安定処理工法および石灰安定処理工法がある。 ・ 下層路盤材料選定の留意点 @ 下層路盤材は、通常、施工現場近くで経済的に入手できるものを使用する。その入手した路盤材の修正CBRやPIが下層路盤材の品質規格に入らない場合は、補足材やセメント、石灰などを添加し、規格を満足するようにして使用する。再生路盤材も同様にして有効利用を図るとよい。下層路盤材料の品質規格を下表に示す。
表 下層路盤材料の品質規格
工 法規 格
粒状路盤修正CBR20%以上
(クラッシャラン鉄鋼スラグは修正CBR30%以上)
PI6以下(PIは鉄鋼スラグには適用しない)
水浸膨張比1.5%以下(クラッシャラン鉄鋼スラグ)
セメント安定処理一軸圧縮強さ〔7日〕0.98 MPa
石灰安定処理一軸圧縮強さ〔10日〕0.7 MPa

〔注〕修正CBR試験:路盤材料や盛土材料の品質基準を表す指標。
3層に分けて各層92回突き固めたときの最大乾燥密度に対する
所要の締固め度に相当するCBR。
2) 上層路盤
  上層路盤の築造工法には、粒度調整工法、セメント安定処理工法、石灰安定処理工法、瀝青安定処理工法およびセメント・瀝青安定処理工法などがある。

・ 上層路盤材料選定の留意点
@ 上層路盤材は、ほとんどが中央混合方式などにより調整されるものであるので、その地域における供給状況を事前に調査しておくとよい。
A 各安定処理に用いる骨材は、下表に示す品質を満足していることが望ましい。この品質は、経済的な安定材添加量の範囲で所定の強度が得られる目安を示したもので、この品質から外れる骨材であっても、効果的に安定処理が行える場合には使用できる。

表 安定処理に用いる骨材の品質の目安(上層路盤)
品質\工法セメント
安定処理
石灰
安定処理
瀝青
安定処理
セメント・瀝
青安定処理
修正CBR(%)20以上20以上 − 20以上
PI9以下6〜189以下9以下

B 骨材の最大粒径は40mm以下で、かつ一層の仕上がり厚の1/2以下がよい。また、混合や締固めなどの施工性を考慮した場合、ある程度の粗骨材を含む連続粒度のものがよい。骨材の粒度分布がなめらかなほど施工性に優れ、細粒分が少ないほど所要の安定材添加量は少なくてすむ。
C 上層路盤の石灰安定処理は、PIの大きな地域産材料等の活用を図る場合に用いる。
参照:(テキスト2章P53,57)(舗装施工便覧3章)



【問 17】 車道におけるポーラスアスファルト混合物の配合設計に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。
 (1) 設計アスファルト量の決定において、一般に目標空隙率は25%以上とする。
 (2) マーシャル安定度試験用の供試体作製における突固め回数は、50回とする。
 (3) 最適アスファルト量の決定は、マーシャル安定度試験による。
 (4) マーシャル安定度試験用の供試体作製時の混合温度は、一般に使用するアスファルトの動粘度が180±20o2/sになるときの温度とする。

解答と解説: 

解答--- (2)

【解説】(1) 設計アスファルト量の決定
1)ポーラスアスファルト混合物の物性試験としては、設定した最適アスファルト量において密度試験、透水試験、マーシャル安定度試験ならびに、必要に応じホイールトラッキング試験を行う。この結果から下表に示す各試験に対する目標値を満足するか否かを確認して、設計アスファルト量とする。なお、空隙率は目標空隙率の±1%以内とする。

項 目目標値
空隙率(%)20%程度
透水係数(cm/sec)10-2以上

2)積雪寒冷地や急勾配箇所では、目標空隙率を20%以下とすることがある。
3)最適アスファルト量におけるマーシャル安定度の値は、3.43kN以上となることが望ましい。
4)大型車交通量の多い道路における動的安定度の目標値は、交通条件、気象条件および経済性を考慮して1,500回/mm以上で設定するが、大型車交通量が著しく多い箇所では3,000回/mm以上で設定する。
5)設計アスファルト量における骨材の飛散抵抗性を評価する目的で、カンタブロ試験を実施して結果を報告する。
ダレ試験結果
(3) 配合設計では,試し突きにより定めた骨材配合の混合物によるダレ試験(アスファルト混合物に対して、ある一定量のアスファルトを添加した際の余剰アスファルトモルタル分を判定する試験−右図参照)から,最適アスファルト量を設定する。その後,密度試験,透水試験,マーシャル安定度試験ならびに,必要に応じホイールトラッキング試験を行って,設計アスファルト量を決定する。
(4) ポーラスアスファルト混合物の混合温度は、均一な混合ができ、かつ製造運搬時にダレが生じにくい温度条件を考慮して決定する。ポリマー改質アスファルトH型の温度管理は、製造メーカが推奨する温度を参考に実施するとよい。

参照:(テキスト2章P108)(舗装施工便覧6,7章)


【問 18】 加熱アスファルト混合物の各種対策に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 耐摩耗性を向上させるには、フィラーの多いF付きの混合物を用いてアスファルト量が少なくなるようにするとよい。
 (2) 耐流動対策においては、骨材の75μmふるい通過分のうち、回収ダスト分は30%を超えないようにする。
 (3) 剥離防止対策においては、アスファルトの針入度が小さいものを用いると効果がある。
 (4) 剥離防止対策として、アミン系界面活性剤を使用する場合は、一般にアスファルト全質量に対して0.3%以上使用すればよい。

解答と解説: 

解答--- (1)

【解説】耐摩耗対策;積雪寒冷地域や路面の凍結する箇所では、タイヤチェーン等による路面の摩耗が著しい。したがって、そのような地域では、耐摩耗性の高い混合物を表層に用いる。その他の混合物としては、グースアスファルト混合物、ロールドアスファルト混合物がある。
@ 使用材料
 使用アスファルトは低温時にもろくなりにくく、骨材の把握力の大きなものが望ましい。このようなアスファルトは、ポリマー改質T型アスファルトが適している。骨材は硬質骨材を使用する。
A 混合物の種類および配合
 混合物の種類は、フィラーの配合率を高めた密粒度アスファルト混合物 (20F,13F) 、細粒ギャップアスファルト混合物 (13F ) および細粒度アスファルト混合物 (13F) または密粒度ギャップアスファルト混合物 (13F ) の中から選定するとよい。
 アスファルト量が多いほど耐摩耗性は向上する。したがって耐摩耗用混合物は、アスファルト量が多くなる傾向があるが、夏期の耐流動性についても考慮する必要がある。得られた配合の混合物については、必要に応じてラベリング試験を行い、他の混合物との相対的比較を行い検討するとよい。
耐流動対策:一般地域で特に流動が予想される場合の表層用混合物(特別な場合は基層用混合物も含む)の設計アスファルト量は共通範囲の中央値から下限値の範囲で設定するとよい。アスファルト量の調整で対応できない場合は改質アスファルトの採用を検討する。
剥離防止対策:アスファルト混合物において,アスファルトと骨材が剥離すると,混合物が粒状化して破壊するため,一度発生すると修復は困難である。したがって,剥離が想定される場合は、次のような剥離防止対策を講じる。
1) フィラーの一部に消石灰やセメントを用いる。その使用量は,アスファルト混合物全質量に対して1〜3%を標準とする。
2) 剥離防止剤(アミン系界面活性剤)を用いる場合、その使用量は,一般にアスファルト全質量に対して0.3%以上とする。
3) 針入度の小さいアスファルトを用いる。この場合,針入度は40〜60がよい。より効果を高めるために,剥離防止対策を施した改質アスファルトを使用することもある。
4) 配合は,できるだけ水密性に富むものにする。そのアスファルト量は,配合設計で得られたアスファルト量の共通範囲の上限値を標準とする。水に対する抵抗性の検討は,マーシャル安定度試験による残留安定度や,水浸ホイールトラッキング試験によるとよい。

参照:(テキスト2章P64,65,66)(舗装施工便覧6章)


【問 19】 舗装用セメントコンクリートの配合に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。
 (1) 一般に、単位水量が140kg/m以下と少なくなる場合には、骨材の粒度および形状が適当でないと考えてよい。
 (2) 一般に、コンクリート中の空隙の増加が1%程度であれば、コンクリートの曲げ強度は変化しない。
 (3) 舗設位置におけるコンクリートの空気量は、セットフォーム工法の場合、8%を標準とする。
 (4) スランプは、舗設方法に応じて適切に定める必要があり、簡易な舗設機械を使用する場合や人力で舗設する場合は、6.5p程度を標準とする。

解答と解説: 

解答--- (4)

【解説】(1) 舗装用コンクリートの配合は、所要の品質が得られるように定める。このためには、選定された材料を用いて、所定の強度や耐久性などの所要の品質と作業に適するワーカビリティーのコンクリートの単位水量をできるだけ少なくし、かつ経済的なコンクリートが得られるよう、各材料の配合量を定める。
・所要のコンシステンシーを得るために必要な単位水量は、細骨材率(砂の比率)が小さくなるほど減少する。
・天然骨材と比べ砕石や砕砂は稜角に富む(ごつごつしている)ことから作業性(ワーカビリティー)を確保するためには水の量が多く必要となる。
・粗骨材の最大寸法は、大きいほど単位水量を少なくできるが、反対に材料分離しやすくなるので、施工条件やコンクリート版の種類に応じて選定する。
単位水量はどんな場合でも150kg/m3以上となる場合は、骨材が適当でないと考えてよい。
(2) コンクリートは,舗設方法,気象条件,現場条件などに応じたワーカビリティーを持ち,所要の締固めや平たん性が容易に得られるようなフィニッシャビリティを持つものとする。そして,コンクリートの強度発現や乾燥収縮に伴う初期ひび割れの発生防止などを考慮すると,コンクリートは舗設作業ができる範囲内で,できるだけ単位水量が少なく,スランプの小さいものが望ましい。
 しかし,あまりにも硬練りすぎると施工において締固めが不十分となり,コンクリート中に空隙が残り,強度への影響が懸念されるので(空隙1%の増加は曲げ強度4%程度の減少となる),舗設に使用する機械の性能に応じて,スランプを適切に定める必要がある。
(3) 舗設位置におけるコンクリートの空気量は,セットフォーム工法の場合4.5%,スリップフォーム工法の場合4〜7%を標準とする。
(4) コンクリートは、舗設方法、気象条件、現場条件などに応じたワーカビリティーを持ち、所要の締固めや平たん性が容易に得られるようなフィニッシャビリティーを持ち、作業が可能な範囲でコンシステンシーの小さいものでなければならない。
舗設位置におけるコンシステンシーは、スランプで2.5cm、沈下度で30秒を標準とする。ただし人力施工、配筋量の多い版、ダンプトラックが使用できない箇所での施工では、スランプ6.5cm程度を標準とする。

参照:(テキスト2章P67〜69)(舗装施工便覧8章)

【問 20】 各種の舗装に用いる材料に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。
 (1) 透水性舗装では、路床土が路盤に侵入することを防止する目的で透水シートや砂をフィルター層として設けることがある。
 (2) 凍結抑制舗装のうち物理的な工法は、アスファルト混合物に添加した塩化物の染み出しによる氷点降下作用によって凍結を抑制する。
 (3) 遮熱性舗装は、遮熱性材料などからなる遮熱層で保水した水分が蒸発し気化潜熱を奪うことで路面温度の上昇を抑制する。
 (4) 明色舗装に使用する明色骨材には、人工骨材と天然骨材があり、人工骨材の方が光の反射率が小さい。

解答と解説: 

解答--- (1)

【解説】凍結抑制舗装(2) 凍結抑制舗装は、凍結抑制材料をアスファルト混合物に混入したり、表面に施した舗装である。
 走行車両の安全性、除雪作業の効率化に効果があり、主に積雪寒冷地の勾配の大きな箇所、交差点内やその周辺等に用いられる。凍結抑制舗装は化学系(舗装体内に含浸させた塩分により、路面付近の氷結を防止するもの)と物理系(ゴム等の弾性材を混入することにより舗装自体のたわみ性を増加させ、路面付近の氷盤を破砕する)および物理化学系(塩分と弾性材の両方を混入することで療法の効果で氷盤・評決を防止する)に分けられる。氷点降下作用(塩を水に溶かす(飽和濃度)と,氷点は−21.3℃となる。)は化学的な工法である。
(3) 遮熱性舗装は、舗装表面に到達する日射エネルギーのうち近赤外線を高効率で反射し、舗装への蓄熱を防ぐことによって路面温度の上昇を抑制する舗装である。
 保水性舗装は、保水機能を有する表層や表・基層に保水された水分が蒸発する際の気化熱により路面温度の上昇と蓄熱を抑制する舗装である。従って設問は保水性舗装の説明である。 (4) 明色骨材;天然産または人工的に焼成した白色の骨材である。天然の明色骨材はけい石などがあるが、人工的に製造した骨材と比較して光の反射率が小さい。人工骨材としては、けい砂、石灰、ドロマイトを溶融して造ったガラスの一種である白色骨材などがある。

参照:(テキスト2章P126, 128)(舗装施工便覧9章)


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