平成30年度 1級舗装施工管理技術者資格試験  一般 試験問題(2/3)

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【問 21】 再生路盤材料に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。
 (1) 再生加熱アスファルト安定処理路盤材料にアスファルトコンクリート再生骨材を使用する場合の粒度は、破砕されたままの見かけの骨材粒度を用いて検討する。
 (2) セメントコンクリート再生骨材は、水と接触すると六価クロムを溶出することがある。
 (3) 再生路盤材料に使用するアスファルトコンクリート再生骨材の配合率が大きくなると、修正CBRは増加する傾向がある。
 (4) セメントコンクリート再生骨材は、新規骨材よりすり減り減量が小さいため、再生加熱アスファルト安定処理路盤材料の素材として利用される。

解答と解説: 

解答--- (2)
【解説】2-4-2再生路盤材料 (2) 上層路盤材料
3) 再生加熱アスファルト安定処理路盤材料; 再生加熱アスファルト安定処理路盤材料は、アスファルトコンクリート再生骨材などに、必要に応じて再生用添加剤、新アスファルトおよび新規骨材を加えて製造したものである。
  再生加熱アスファルト安定処理路盤材料の粒度範囲は舗装再生便覧に示されるが、(設問(1))アスファルト再生骨材の通過質量百分率は、アスファルト抽出後の骨材粒度を用いる。
再生路盤材料;再生路盤材料は、アスファルトコンクリート発生材、セメントコンクリート発生材、路盤発生材などから製造された再生骨材を単独または相互に組み合わせ、必要に応じてこれに新規骨材や安定材を加えて、所要の品質が得られるように調整したものである。 再生路盤材料に関する使用上の留意点を以下に示す。

@ アスファルトコンクリート再生骨材に含まれる骨材の密度、吸水率、すり減り減量などの性状は、新規骨材と同程度であるが、アスファルトコンクリート再生骨材に含まれる旧アスファルトなどの影響により、締固めによる骨材のかみ合わせ効果が新規路盤材料ほどは期待できないことがある。また、(設問(3))アスファルトコンクリート再生骨材の配合率が大きくなると、修正CBRは低下する傾向がある。したがって、アスファルトコンクリート再生骨材を粒状路盤材料として用いる場合にはこれらの点に注意を要する。
A(設問(4))セメントコンクリート再生骨材は、新規骨材と比べて密度が小さく、吸水率およびすり減り減量が大きくなる傾向にあるが、修正CBRは比較的大きいことから単独でも再生クラッシャランとして利用できるものがある。
B セメントコンクリート再生骨材はアルカリ性を示すことを考慮して使用する。特にアルカリ性条件下で溶出の促進や形状変化などの不具合を起こす可能性のある他の再生骨材や新規骨材などとの混合使用はしない。
C (設問(2)) セメントコンクリート再生骨材は水と接触すると六価クロムが溶出することがある。そのため、水が拡散するような箇所で使用する場合は、六価クロムの溶出の程度を確認してから使用するとよい。特に、細粒分からは多く溶出する傾向があるので注意する必要がある。
参照: (舗装再生便覧2章)

【問 22】 アスファルト舗装の試験の主な目的に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。
 (1) エングラー度試験は、アスファルト混合物の粘性を調べる試験である。
 (2) ラベリング試験は、アスファルト混合物の耐流動性を調べる試験である。
 (3) ダレ試験は、ポーラスアスファルト混合物の骨材飛散抵抗性を調べる試験である。
 (4) アスファルト抽出試験は、アスファルト混合物のアスファルト含有量を調べる試験である。

解答と解説: 

解答--- (4)
【解説】各種試験機
 (設問(1)) A071 エングラー度試験方法;(目的)
石油アスファルト乳剤の粘性を表す、エングラ一度の測定を行う。
 ・エングラ一度は、石油アスファルト乳剤のエングラ一計から流出する流出時間(TS)と等量の蒸留水の流出時間(TW)との比で表わされるので、蒸留水による試験注1)を3回行い、その平均をそのエングラー計の標準時間(秒)とし、以下の計算式で算出する。
  E=TS/TW  E:エングラー度
(設問(2)) B002 ラベリング試験方法;(目的)
 加熱アスファルト混合物等、表層用混合物の耐摩耗性を評価する。配合設計、骨材選定の基準とする。
 また、舗装工事の際の品質管理として実施する場合もある。配合設計の基準として実施する場合は室内で作製された供試体について、品質管理として実施する場合はプラントより出荷された加熱アスファルト混合物を用いて作製、もしくは現場より切り出した供試体について、主に試験室で試験を実施する。
(設問(3))B009 ダレ試験方法;(目的)
 所定粒度のアスファルト混合物に対してある一定量のアスファルトを添加した際の余剰アスファルトモルタル分を判定するために用いる。
 試験方法は右図に示すように、バット等受け皿に混合したアスファルト混合物を入れ、乾燥炉内に混合温度(一般に170℃)で1時間入れ、取り出し後受け皿を反転するなどして、付着したアスファルトモルタルを含め計量する。ダレ量は試験前後の混合物質量差を百分率で算定する。
 ポーラスアスファルト混合物のアスファルト量設定には、この試験と合わせて設問にある「骨材飛散抵抗性を調べる試験」即ち(本来は道路用砕石等の粗骨材のすり減り減量を測定する試験)「カンタブロ試験」によって、ポーラスアスファルト混合物の設定した試験温度における骨材飛散抵抗性を評価する。
「カンタブロ試験」では図に示すロサンゼルス試験機のドラムに、養生したポーラスアスファルト混合物のマーシャル供試体を投入し、300回転後供試体がどの程度質量損失したかの損失率を百分率で算定する。上記の両試験で右に示すように結果を図化し、ポーラスアスファルト混合物の最小および最大アスファルト量を設定し、その間で他の物理試験(ホイールトラッキング試験等)の結果を考慮してアスファルト量を設定する。
(設御(4)) G028 アスファルト抽出試験方法;抽出装置・ふるい試験
(目的) 、アスファルト混合物からアスファルトを抽出してその含有量を測定する。また抽出した骨材をふるい分け、その粒度を調べる。なお、抽出装置には減圧式ソックスレー抽出法(右写真)、自動遠心分離抽出法、強制循環式自動抽出法、常温式ソックスレー抽出法 等がある。
参照:(舗装調査・試験法便覧第2・3分冊)

【問 23】 路床の安定処理の施工に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 路上混合方式では、混合深さの確認を行い、混合むらが生じた場合には再混合する。
 (2) 配合設計で、安定材の添加量が極めて多く不経済となる場合には、目標とするCBRや処理厚などの変更を検討する。
 (3) 粒状の生石灰を用いる場合の混合においては、消化後の再混合はしなくてもよい。
 (4) 安定処理工法は、現状路床土のCBRが3以上の場合にも適用することがある。

解答と解説: 

解答--- (3)
【解説】安定処理工法の施工; 安定処理の一般的な施工手順および施工上の留意点を以下に示す。

A:(工法)
1) 安定処理工法は、現位置で現状路床土とセメントや石灰などの安定材を混合し、その支持力を改善して構築路床を築造する工法である。安定処理工法は、現状路床土の有効利用を目的としてCBRが3未満の軟弱土に適用する場合と、舗装の長寿命化や舗装厚の低減等を目的としてCBRが3以上の良質土に適用する場合とがある。(設問(4))

B:(施工)
1) 安定材の散布に先立って立って現状路床の不陸整正や、必要に応じて仮排水溝の設置などを行う。
2) 所定量の安定材を散布機械または人力により均等に散布する。
3) 散布が終わったら、適切な混合機械を用いて所定の深さまで混合する。混合中は混合深さの確認を行い混合むらが生じた場合には再混合する。(設問(1))
4) 粒状の生石灰を用いる場合には、一回目の混合が終了したのち仮転圧して放置し、生石灰の消化を待ってから再び混合する。(設問(3)) ただし、粉状の生石灰(0〜5mm)を使用する場合は、一回の混合で済ませてもよい。
5) 散布および混合に際して粉塵対策を施す必要がある場合には、防塵型の安定材を用いたり、シートの設置などの対策をとる。
6) 混合終了後、タイヤローラなどによる仮転圧を行う。次に、ブルドーザやモータグレーダなどにより所定の形状に整形し、タイヤローラなどにより締め固める。軟弱で締固め機械が入れない場合には、湿地ブルドーザなどで軽く転圧を行い数日間養生後整形してタイヤローラなどで締め固める。なお、厚層で締め固める場合には、振動ローラを用いるとよい。

C:(配合設計)
1) 構築路床における安定処理の配合設計は、安定材の添加量とCBRの関係から目標とするCBRに対応する安定材の添加量を決め、この量に割増率を乗じたものを設計添加量とする割増率方式と、目標とするCBRに安全率を乗じたものに対応する安定材の添加量を、設計添加量とする安全率方式がある。
2) 目標とするCBRは、舗装の構造設計によって与えられる。
3) 安定材に生石灰を用いる場合の供試体作製は、いったん混合したあと3時間以上適当な覆いを被せて放置し、生石灰が消化してから再び混合して突き固める。
路床安定剤の添加量
4) 配合設計における安定材添加量は、セメントまたは 石灰の予測される添加量を中心に数%ずつ変化させた3点を標準とする。
5) 安定材添加量の割増率は、現状路床土の土質、含水比、混合比および施工時期などを考慮して決めるが、一般に処理厚50p未満の場合15〜20%、処理厚50p以上の場合は、砂質土で20〜40%、粘性土で30〜50%の範囲とする。
6) 安定材の添加量が極めて多く不経済な場合は、目標とするCBR値を下げるか、処理厚を大きくするなど検討する必要がある。(設問(2))
図1-23 路床安定剤の添加量
7) セメントおよびセメント系安定材を使用した安定処理土は「セメント及びセメント系固化材を使用した改良土の六価クロム溶出試験要領(案)」に基づき、六価クロム溶出量が土壌環境基準に適合していることを確認する。
参照:(舗装施工便覧第5章)

【問 24】 路盤の施工に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。
 (1) 瀝青安定処理工法の設計アスファルト量の決定は、一軸圧縮試験による。
 (2) 石灰安定処理工法には、一般に生石灰を用いるが、含水比が高い場合には消石灰を用いることもある。
 (3) 上層路盤のセメント安定処理路盤においては、セメント量が多すぎると、アスファルト混合物層にリフレクションクラックが発生することがある。
 (4) 中央混合方式による下層路盤のセメント安定処理工法の横方向継目は、前日の施工端部を乱してから新たに施工を行う。

解答と解説: 

解答--- (3)
【解説】 (設問(1)) 5-2 下層路盤の施工 5-3 上層路盤の施工
5-3-4 瀝青安定処理の施工 (1) 配合設計;瀝青安定処理工法においては、マーシャル安定度試験または経験により設計アスファルト量を決定する。マーシャル安定度試験による場合は基準値の範囲で経済性を考慮して決める。なお、経験にもとづき設計アスファルト量を決定する場合にはマーシャル安定度試験による配合設計を省略してもよい。
(設問(2)) 5-2-1 (2) 3) 石灰安定処理工法;
@ 下層路盤の石灰安定処理工法は、現地発生材、地域産材料またはこれらに補足材を加えたものを骨材とし、これに石灰を添加して処理する工法である。
A この工法は、骨材中の粘土鉱物と石灰との化学反応によって安定させるものであり、強度の発現はセメント安定処理に比べて遅いが、長期的には耐久性および安定性が期待できる。
B 対象とする骨材の強度、PIについては、表24-1の品質を満たすものがよい。
骨材の品質

 石灰は一般に消石灰を用いるが、含水比が高い場合には生石灰を用いることもある。なお、石灰に適した骨材であってもPIが大きい場合等には、石灰系安定材(固化材)を用いた方が効果的な場合もある。また、骨材の粒度が著しく不良な場合やPIが大きい場合には、石灰量が多くなり不経済になることがあるので、他の工法も併せて検討するとよい。
(設問(3)) 5-3-1 工法の種類 (2) 2) セメント安定処理(上層路盤);セメント安定処理工法は、骨材にセメントを添加して処理する工法である。この工法は、強度が増加し、さらに含水比の変化による強度の低下を抑制できるため、耐久性を向上させる特長がある。
  骨材は、クラッシャランまたは地域産材料に必要に応じて砕石、砂利、鉄鋼スラグ、砂などの補足材を加えて調整したもので、多量の軟石やシルト、粘土の塊を含まないものを使用する。
  セメントは普通ポルトランドセメント、高炉セメントなどのいずれを使用してもよい。ひび割れの発生を抑制する目的でフライアッシュ等をセメントと併用することもある。なお、セメント量が多くなると、安定処理層の収縮ひび割れにより上層のアスファルト混合物層にリフレクションクラックが発生することもあるので注意する。
(設問(4))セメント、石灰安定処理路盤の施工(下層路盤);路上混合方式の場合、前日の施工端部を乱してから新たに施工を行う。ただし、日時をおくと施工継目にひび割れを生じることがあるので、できるだけ早い時期に打ち継ぐことが望ましい。
  中央混合方式の場合の施工継目は、横方向の施工継目は、セメントを用いた場合は施工端部を垂直に切り取り、石灰を用いた場合は前日の施工端部を乱して各々新しい材料を打ち継ぐ。また、縦方向の施工継目は、あらかじめ仕上がり厚さに等しい型枠を設置し、転圧終了後取り去るようにする。新しい材料を打ち継ぐ場合は、日時をおくと施工継目にひび割れを生じることがあるので、できるだけ早い時期に打ち継ぐことが望ましい。
参照:(舗装施工便覧第5章)

【問 25】 加熱アスファルト混合物の製造・運搬に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) アスファルト混合物の分離は、アスファルトプラントのミキサゲート高さと運搬車の荷台との落差が小さい場合に発生しやすい。
 (2) アスファルト混合物積込完了時から荷下ろしするまでの運搬時間は、一般に2 時間程度までである。
 (3) アスファルト混合物貯蔵設備や大型ミキサからの積込みは、片荷積みになりやすいので注意する。
 (4) 一次貯蔵ビン(サージビン)に貯蔵したアスファルト混合物は、混合直後の温度より10℃以上低下しないうちに搬出することが望ましい。

解答と解説: 

解答--- (1)
【解説】5-3-3 運搬作業の注意事項;アスファルト混合物の分離と片荷積みの防止には、運搬車を徐々に移動させながらアスファルト混合物を荷台全体へ平均に積込むようにするとよい。
  また、アスファルト混合物の分離は、アスファルトプラントのミキサゲート高さと運搬車の荷台との落差が大きい場合に発生しやすいので、積込み作業に支障が生じない範囲でこの落差を小さくする。
  特に、アスファルト混合物貯蔵設備や大型ミキサからの積込みは、片荷積みになりやすいので注意する。
  5-2-3 運搬時間および距離;アスファルト混合物積込完了時から荷降しするまでの、アスファルト混合物の運搬時間は、一般に2 時間程度までである。しかし、まれには諸事情によって長時間あるいは長距離の運搬が余儀なくされる場合がある。このような場合には、アスファルト混合物の特別な保温対策を行なう必要がある。
  5-3-3 運搬作業の注意事項;出荷管理者は、アスファルト混合物を運搬車に積込む場合の注意事項を予め運転者に指示し、アスファルト混合物の分離および片荷積みの防止に努める。
  アスファルト混合物の分離と片荷積みの防止には、運搬車を徐々に移動させながらアスファルト混合物を荷台全体へ平均に積込むようにするとよい。
  また、アスファルト混合物の分離は、アスファルトプラントのミキサゲート高さと運搬車の荷台との落差が大きい場合に発生しやすいので、積込み作業に支障が生じない範囲でこの落差を小さくする。
  特に、アスファルト混合物貯蔵設備や大型ミキサからの積込みは、片荷積みになりやすいので注意する。
  4-4-2 一次貯蔵ビン(サージビン);一時貯蔵ビンは、混合物運搬車の待機時間の節減、あるいは混合所の連続稼働を目的とした混合物の保温貯蔵設備であり、12時間程度以下の貯蔵に用いるビンである。   通常の貯蔵時間としては数時間以内の使用が大半であるが、時には半日近くの貯蔵が生じることもあるため、特に温度低下の生じやすいビンの排出口付近については、特別な保温対策を施したものが多い。

[注](1) 混合物の温度は、混合直後の温度より10℃以上低下しないうちに搬出することが望ましい。
(2) 再生混合物を一時貯蔵する場合にもこの種のビンが使用されるが、この場合には再生混合物の水分量に注意する。
参照:(アスファルト混合所便覧4・5章)

【問 26】 舗装用コンクリートの製造・運搬に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。
 (1) コンクリートの練混ぜから舗設開始までの時間の限度の目安は、ダンプトラックによる運搬の場合で1.5 時間以内である。
 (2) スランプが5 cm 未満のコンクリートの運搬は、一般にアジテータトラックで行う。
 (3) 暑中コンクリートの製造では、使用する骨材などを日陰に貯蔵したり、練混ぜ水を冷却したりするなどの対策を取る。
 (4) コンクリートのスランプは、運搬中に水分の蒸発や空気量の損失があった場合、練混ぜ直後より大きくなる。

解答と解説: 

解答--- (3)
【解説】8-4-2 コンクリートの製造と運搬;
(運搬) コンクリートの運搬は、よく清掃した運搬車を用い材料分離が生じないように行う必要があり、以下の点に留意する。
1) 一般に、スランプ5cm未満の硬練りコンクリートおよび転圧コンクリートの運搬はダンプトラックで行いスランプ5cm以上のコンクリートの運搬はアジテータトラックで行う。(設問(2))
2) コンクリートの練混ぜから、舗設開始までの時間の限度の目安は、ダンプトラックによる運搬の場合で約 1 時間以内、 アジテータトラックによる運搬の場合で約 1.5 時間以内とする。(設問(1))
8-4-10 (1) 暑中コンクリート
1) 舗設時のコンクリートの温度は、 35℃以下となるようにする。
2) コンクリートの製造においては、練り混ぜたコンクリートの温度をできるだけ上昇させないように、使用する骨材などを貯蔵したり、練混ぜ水を冷却したりするなどの対策をとる。(設問(3))また、現場に到着するまでのコンクリートのスランプの低下を考慮した、単位水量および単位セメント量の配合調整や、混和剤として凝結遅延剤を使用することなどを検討する。
3)施工現場では、型枠、路盤などを冷やすために支障にならない程度に散水したり、舗設したコンクリート面にフォグスプレイなどを行うことも効果的である。
  特に、舗設から初期養生までの段階においては、直射日光ならびに風等によるコンクリート表面の過度な乾燥を防ぎできるだけすみやかに、後期養生に移ることが大切である。なお、舗設したコンクリートの温度が、気温よりも高い場合に強し、風の影響を受けると、表面から急激に水分が蒸発し、ひび割れ等が発生しやすくなるので十分に留意する。
4)転圧コンクリートは、単位水量が少なく、暑中ではさらに乾燥しやすくなるので運搬および舗設には特に注意する。なお、暑中の舗設はできる限り避けるように計画するのが望ましい。
8-3-2 (5) 単位水量 (運搬によるスランプの変化)
  プラントで練り混ぜたコンクリートは、 運搬中において水分の蒸発および空気量の損失等によりスランプが小さくなる。(設問(4)) スランプの低下量は、気温、湿度、運搬距離および混和剤の種類等により異なるので、試験を行って求めておくとよい。
参照:(舗装施工便覧第8章)

【問 27】 アスファルト舗装の施工に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 二次転圧に振動ローラを用いた場合、転圧速度が遅すぎると過転圧になったり、速すぎると不陸や小波が発生しやすい。
 (2) ローラ転圧は、一般に横断勾配の高い方から低い方に向かい、順次幅寄せしながら適切な速度で行う。
 (3) 交通開放時の舗装の温度は、初期わだち掘れに影響するので、作業時間が制約されている場合には、冷却時間を考慮した舗設作業時間などを検討する。
 (4) 寒冷期施工などにおいては、プライムコートの養生時間短縮のため、アスファルト乳剤を加温して散布することがある。

解答と解説: 

解答--- (2)
【解説】
5-3-7 プライムコート
(3) 施工上の留意点
1)寒冷期などにおいては、養生期間を短縮するため加温して散布するとよい。(設問4)
2) 散布したアスファルト乳剤の施工機械等への付着およびはがれを防止するため、必要最小限の砂(通常100m2当たり0.2〜0.5m3)を散布するとよい。
3) 瀝青材料が路盤に浸透せず厚い皮膜を作ったり、養生が不十分な場合には、上層の施工時にブリージングが起きたり、層の間でずれて上層にひび割れを生じることがあるので留意する。

6-4-5 締固め
  混合物は、敷きならし終了後、所定の密度が得られるように締め固める。締固め作業は、継目転圧、初転圧、二次転圧および仕上げ転圧の順序で行う。一般に、ロードローラの作業速度は2〜6km/h、振動ローラは3〜8km/h、タイヤローラは6〜15km/hであるが、試験施工または過去の実績などにより定めるとよい。
  ローラは、一般にアスファルトフィニッシャ側に駆動輪を向けて、横断勾配の低い方から高い方へ向かい、順次幅寄せしながら低速かつ等速で転圧する。(設問2)
(2) 二次転圧
  3) 荷重、振動数および振幅が適切な振動ローラを使用する場合は、タイヤローラを用いるよりも少ない転圧回数で所定の締固め度が得られる。ただし、振動ローラによる転圧では、転圧速度が速すぎると不陸や小波が発生する。また、遅すぎると過転圧になることもある(設問1)ので、転圧速度に注意する。

6-4-7 交通開放温度
転圧終了後の交通開放は、舗装表面の温度がおおむね50℃以下となってから行う。交通開放時の舗装の温度は、舗装の初期のわだち掘れに大きく影響するが、表面の温度を50℃以下とすることにより、交通開放初期の舗装の変形を小さくすることができる。
夏期や夜間作業などで作業時間が制約されている場合には、 以下の対策を施すとよい。
1) 舗装の冷却時間を考慮した舗設作業時間を検討する。(設問3)
2)舗装冷却機械等による強制的な冷却により舗装の温度を早期に低下させる方法を検討する。
3)通常の混合物よりも低い温度で、製造・施工が行える中温化技術の適用を検討する。
参照:(舗装施工便覧第5・6章)

【問 28】 加熱アスファルト混合物の舗設に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 初転圧時のヘアクラックを少なくするために、線圧の大きいローラを用いる。
 (2) 寒冷期の施工において混合物温度の低下が懸念される場合に、良好な施工性を得るため、中温化技術を使用することがある。
 (3) 敷きならしに際しては連続作業に心掛け、アスファルトフィニッシャのスクリードは局部加熱に注意する。
 (4) 転圧作業のできる範囲まで、混合物の敷きならしが進んだら、直ちに転圧作業を開始する。

解答と解説: 

解答--- (1)
【解説】6-4-5 締固め
(4) 締固め時の混合物の観察
1) 初転圧時の温度が高過ぎると、混合物の落ち着き具合が悪くなる。
2) ローラの線圧過大、転圧温度の高過ぎ、過転圧などの場合、へアクラックが多くみられることがある。

6-4-9 寒冷期における舗設
2) 混合物温度が低下しても、良好な施工性が得られる中温化技術を必要に応じて使用することもある。(設問2) なお、この場合には混合温度の低減は行わない。
5) 敷きならしに際しては連続作業に心掛け局部加熱に注意しながらアスファルトフィニッシャのスクリードを断続的に加熱するとよい。(設問3)
6) 締固めに際しては、以下の点に留意する。
  @ 転圧作業のできる最小範囲まで、混合物の敷きならしが進んだら、直ちに締固め作業を開始する。(設問4) 初転圧時のへアクラックを少なくするためには、線圧の小さいローラを用いるとよい。(設問1)
  A ローラへの混合物の付着防止には、水を用いず、軽油などを噴霧器で薄く塗布するとよい。
  B コールドジョイント部は、温度が低下しやすく締固め不足になりやすいため、直前に過加熱に注意しながらガスバーナ等を使用して、既設舗装部分を加熱しておくとよい。
参照:(舗装施工便覧第6章)

【問 29】 アスファルト舗装の継目の施工に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 舗設作業を長時間中断して横継目を設ける場合は、端部を転圧しないでおいて、後続の混合物と同時に締め固めるとよい。
 (2) 施工継目部は弱点となりやすいので、できるだけ少なくなるように計画する。
 (3) 原則として、下層の横継目の上に上層の横継目を重ねないようにする。
 (4) 表層の縦継目の位置は、原則としてレーンマークに合わせるようにし、車輸の走行位置直下とならないようにする。

解答と解説: 

解答--- (1)
【解説】 6-4-6 継目
  継目の施工に当たっては、継目または構造物との接触面をよく清掃したのち、タックコートを施工後、敷きならした混合物を締め固め、相互に密着させる。
  施工継目や構造物との接合部では、締固めが不十分となりがちとなる。所定の締固め度が得られない場合には、不連続となり弱点となりやすいので、施工継目はできるだけ少なくなるように計画する。(設問2) 継目は、その方向により横継目と縦継目とがある。
(1) 横継目
1) 横継目は施工の終了時、またはやむを得ず施工を中断したとき、道路の横断方向に設ける継目で、仕上がりの良否が走行性に直接影響を与えるので、平たんに仕上げるように留意する。
2) 舗設作業をやむを得ず長時間中断するときは敷きならしの終わった端まで転圧を完了させておく(設問1)
3) 施工中断時または終了時の継目は、横断方向にあらかじめ型枠を置いて、所定の高さに仕上げる。
4) 既設舗装の補修・延伸の場合を除いて、下層の継目の上に上層の継目を重ねないようにする。(設問3)
(2) 縦継目
1) 縦継目は道路幅員を車線数に分けて施工する場合に道路中心線に平行に設ける継目である。締固めが十分でないと継目部の開きや縦ひび割れなどが生じやすい。
2)表層の縦継目の位置は、原則としてレーンマークに合わせるようにする。
3)各層の継目の位置は、既設舗装の補修・拡幅の場合を除いて、下層の継目の上に上層の継目を重ねないようにする。また縦継目は、上・下層とも車輪の走行位置直下にしないようにする。(設問4)
4)縦継目部は、レーキなどで粗骨材を取り除いた新しい混合物を、既設舗装に5cm程度重ねて敷きならし、直ちにローラの駆動輪を15cm程度かけて転圧する。
5)ホットジョイントの場合は、縦継目側の5〜l0cm幅を転圧しないでおいて、この部分を後続の混合物と同時に締め固める。
参照: (舗装施工便覧第6章)

【問 30】 連続鉄筋コンクリート舗装の施工に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 鉄筋の組立ては、横方向鉄筋が縦方向鉄筋の下側となるように配置する。
 (2) スリップフォーム工法で施工する場合、プレーサスプレッダを用いればコンクリートの荷下ろしと敷きならしを行うことができる。
 (3) 鉄筋の組立ては、地組方式が一般的であるが、工場で組み立てておいた鉄筋を現地で設置する方式もある。
 (4) セットフォーム工法で施工する場合、敷きならしと締固めは下層と上層の2層で行うのが一般的である。

解答と解説: 

解答--- (4)
【解説】 8-4-4 連続鉄筋コンクリート版の施工
  施工の手順および留意点は、普通コンクリート版の施工における場合と共通する部分が多いので、 主として連続鉄筋コンクリート版に特有の事項について以下に示す。

(1) 施工機械の選定と組合せ
  施工機械の選定と組合せは、普通コンクリート版の場合と同様に行うが、鉄筋の組立て方法によっては、荷下ろし機械の種類などに影響を及ぼす場合がある。

(2) 鉄筋の組立て
  鉄筋の組立ては、一般に、縦方向鉄筋がコンクリート版の上面から 1/3 の深さになるように行う。鉄筋の組立て方法には、 コンクリート舗設前に予め路盤上、あるいはアスファルト中間層上に組み立てる地組方式と、工場で組み立てておいた鉄筋を現地で舗設しながら設置する方式などがある。 一般的には、地組方式による場合が多い。(設問3)
  鉄筋の組立てにおける留意点は以下のとおりである。
@ 鉄筋の重ね合わせの長さは、縦、横方向鉄筋とも直径の25倍以上とする。
A 鉄筋の接続は、溶接するか焼きなまし鉄線で要所を結束する。
B 縦方向鉄筋の継手部は、横断方向にー列に並ばないようにする。
C 地組方式の場合は、l u当たり4〜6個のチェアを用いて組み立てる。また、 連続したチェアを用いる場合では、舗設幅員にもよるが、その間隔は1〜2mとする。
D 鉄筋は、縦方向鉄筋が横方向鉄筋の上側となるように配置する。(設問1)

(3) 準備工
  施工に先立って行う点検は、普通コンクリート版の場合とほぼ同様であり、異なる点としては、組み立てられた鉄筋の間隔や形状寸法の確認などがある。
スリップフォームペーパを使用する場合には、センサラインがコンクリート版の線形、基準高さ(版厚に影響)、平たん性等の良否に影響するので、正しく設置されていることを確認しておくことが重要である。

(4)受入れおよび荷下ろし
  コンクリートの受入れに際しては荷下ろしする前に所要のコンクリートが搬入されたか否かを、確認することが重要である。観察、確認の結果、不良なコンクリートの場合には、廃棄処分するとともに、観察の結果について絶えずコンクリートプラントに連絡し、所要のコンクリートが搬入されるよう努めなければならない。
  コンクリートの荷下ろしは、荷下ろし機械を介して材料が分離しないように行う。スリップフォーム工法では、プレーサスプレッダを用いればコンクリートの荷下ろしと敷きならしを行うことができる。(設問2)

(5) 敷きならし、締固め、荒仕上げ、平たん仕上げ
  スリップフォームペーバを使用する場合にはコンクリートの敷きならし、締固め、荒仕上げおよび平たん仕上げを1台で行うことができる。セットフォーム工法の場合は、普通コンクリート版の施工に準じて行う。ただし、コンクリートの敷きならしと締固めは1層で行い(設問4) コンクリートが鉄筋のまわりに十分にいきわたるように締め固めることが重要である。

(6) 粗面仕上げおよび養生
  粗面仕上げおよび養生は、普通コンクリート版の施工に準じて行う。
参照:(舗装施工便覧第8章)

【問 31】 橋面舗装の施工に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) コンクリート床版の場合、舗設に先立って表面のレイタンスをワイヤブラシや研掃機械などにより十分除去しておく。
 (2) 鋼床版やコンクリート床版の基層に水密性の高い砕石マスチック混合物を用いた場合でも、別途防水層を設ける必要がある。
 (3) 接着層に用いる材料には、ゴム入りアスファルト乳剤や溶剤型のゴムアスファルト系接着剤などがあり、鋼床版には後者を用いることが多い。
 (4) 目地材には、低弾性タイプと高弾性タイプがあり、基層にグースアスファルト混合物を用いる場合には前者を用いることが多い。

解答と解説: 

解答--- (4)
【解説】 9-2-1 橋面舗装 (2)適用上の留意点
1) 表層、基層に用いるアスファルト混合物
B近年、鋼床版においてはたわみ追随性や水密性、コンクリート床版では水密性から基層として砕石マスチック混合物を用いることがある。この場合、別途防水層を設ける必要がある。

3) 床版面の表面処理
舗設に先立つて、床版面のケレンを行い、錆、ごみ、泥、油などの異物を除去したのち、表面を乾燥させた状態にする。
@ コンクリート床版の場合、表面のレイタンスをワイヤブラシによるブラッシングや研掃機械などにより十分除去しておく。
A 鋼床版の場合、錆や付着物をブラスト等により十分に除去しておく。ケレン処理した鋼床版は発錆しやすいので、研掃直後すみやかに接着層を施工する。なお、錆の発生量の調査は、目視により代表的な区割りを行い、次いで各区割りの評価を行う。

4) 接着層
接着層は、床版と防水層または基層とを付着させ、一体化させるために設ける。コンクリート床版では一般のアスファルト乳剤のほかに、ゴム入りアスファルト乳剤や接着力を高めた溶剤型のゴムアスファルト系接着剤、ゴム系接着剤などを用いる。鋼床版では溶剤型のゴムアスファルト系接着剤を用いることが多い。

7) 目地
B 目地材は本便覧の品質標準で示される低弾性タイプと、高弾性タイプがある。前者は加熱アスファルト混合物による基層、後者(高弾性タイプ)はグースアスファルト混合物や積雪寒冷地域の加熱アスファルト混合物を用いる場合の目地に使用する。
参照:(舗装施工便覧第9章)

【問 32】 各種の舗装に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 遮熱性舗装は、舗装表面に到達する日射エネルギーのうち近赤外線を高効率で反射し舗装への蓄熱を防ぐことによって路面温度の上昇を抑制する舗装である。
 (2) 砕石マスチック舗装は、粗骨材の量が少なく、細骨材やフィラーの量が多い、水密性の高いアスファルト混合物を用いた舗装である。
 (3) 排水機能を有する舗装にはグルービング工法により舗装表面に溝を設けた舗装や骨材露出工法で粗面仕上げしたコンクリート舗装などもある。
 (4) 透水性舗装の場合、路盤層以下への雨水の浸透を阻害しないように、プライムコートは原則として施工しない。

解答と解説: 

解答--- (2)
【解説】 9-4-10 遮熱性舗装
  (1) 概要 ;遮熱性舗装は、舗装表面に到達する日射エネルギーのうち近赤外線を高効率で反射し、舗装への蓄熱を防ぐことによって路面温度の上昇を抑制する舗装である。
9-4-5 砕石マスチック舗装
(1) 概要 ;砕石マスチック舗装は、粗骨材の量が多く、細骨材に対するフィラーの量が多いアスファルトモルタルで、組骨材の骨材間隙を充填したギャップ粒度のアスファルト混合物を用いた舗装である。アスファルトモルタルの充填効果と粗骨材のかみ合わせ効果により耐流動性、耐摩耗性、水密性、すべり抵抗性、疲労破壊抵抗性を有する。これらの性能を生かして、重交通道路の表層や橋面舗装の基層や表層、 リフレクションクラックの抑制層として用いられる。仕上がり厚さは、粗骨材の最大粒径が13mmの場合3〜5cmとするのが一般的である。
9-3-1 排水機能を有する舗装
(2) 排水機能を有する舗装の種類
代表的な排水機能を有する舗装には排水性舗装や路面の凹凸により雨水等を路側または路肩等に排水する舗装がある。排水性舗装とは空隙率の高い材料を表層または表・基層に用い雨水等をすみやかに路面下に浸透させ排水させる舗装である。
  排水機能層にはポーラスアスファルト混合物を用いる場合が多く、その他の材料としてポーラスコンクリートなども検討されている。
  路面の凹凸によるものには、グルービング工法により舗装表面に縦断方向または横断方向に溝を設けた舗装や骨材露出工法で組面仕上げしたコンクリート舗装などがある。
9-3-2 透水機能を有する舗装
(3) 適用上の留意点 4) プライムコートは原則として施工しない。ただし、施工時における下層路盤への雨水浸食等で強度低下が懸念される場合には、高浸透性のものを使用するとよい。
 
参照: (舗装施工便覧第9章)

【問 33】 主として維持修繕に使用される施工機械に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 薄層用コンクリートフィニッシャは、所定の幅と厚さにコンクリートを敷きならし、締固めおよび平たん仕上げができるものである。
 (2) 路上路盤再生工法に用いる路上破砕混合機械は、既設舗装を所定の幅と厚さで破砕し、安定材などと混合できるものである。
 (3) 路面切削機械は、舗装路面を所定の形状に切削できるものであり、大型機械が多いのは走行装置がタイヤ式のものである。
 (4) 舗装冷却機械は、施工直後のアスファルト表・基層などの温度を早期に低下させるものであり、タイヤローラや散水車を用いることもある。

解答と解説: 

解答--- (3)
【解説】 4-5 補修用機械 4-5-2 路床・路盤用の補修機械
(1) 路上破砕混合機械
路上路盤再生工法に用いる路上破砕混合機械は、既設舗装を所定の幅と厚さで破砕し、安定材などと混合できるものとする。既設アスファルト混合物層が厚い等の場合には、路面切削機械と併用することがある。
4-5-3 表層・基層、コンクリート版用の補修機械
(1) 路上破砕混合機械
路面切削機械は、舗装路面を所定の深さおよび形状に切削できるものとする。走行装置には、クローラ式とタイヤ式があり、前者(クローラ式)には大型機械が多い。(設問3)他の切削機械として、舗装を線状に切削できる線状切削機械やマンホールの周りを円形に切削できる切削機械などを用いることがある。
(2) 舗装冷却機械
舗装冷却機械は、施工直後のアスファルト表・基層などの温度を早期に低下させるものとする。専用機械の代わりに、タイヤローラや散水車を用いて散水することもある。
(4) 薄層用コンクリートフィニッシャ
薄層用コンクリートフィニッシャは、所定の幅と厚さ(5〜15cm未満)にコンクリートを敷きならし、締固めおよび平たん仕上げができるものとする。
参照:(テキスト2章P73、74)(舗装施工便覧第4章)

【問 34】 舗装点検要領(平成28年10月国土交通省道路局)におけるアスフアルト舗装の点検に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) “損傷の進行が早い道路等”の管理基準は、ひび割れ率、わだち掘れ量、段差量の3つの指標を基本に道路管理者が適切に設定する。
 (2) “損傷の進行が早い道路等”については、表層を修繕することなく供用し続ける使用目標年数を設定する。
 (3) “損傷の進行が早い道路等”の点検頻度は、5 年に1 回程度以上の頻度を目安として、道路管理者が適切に設定する。
 (4) “損傷の進行が早い道路等”とは、大型車交通量が多い道路、舗装が早期劣化する道路、その他道路管理者が同様の管理とすべきと判断した道路などである。

解答と解説: 

解答--- (1)
【解説】 道路の分類のイメージ 4. 道路の分類
  舗装の点検の実施にあたっては、管内の道路を分類A〜Dに区分することとする。(図34-1参照)
  分類Aは、高規格幹線道路など求められるサービス水準が高い道路、分類B(損傷の進行が速い道路)は、大型車交通量が多い道路、舗装が早期劣化する道路、その他道路管理者が同様の管理とすべきと判断した道路、(設問4) 分類Cは、大型車交通量が少ない道路、舗装の劣化が緩やかな道路、その他道路管理者が同様の管理とすべきと判断した道路、分類Dは生活道路などを基本としつつ、各道路管理者の判断で分類する。  
5.点検の基本的な考え方
  (1) アスファルト舗装 ;損傷の進行が早い道路等については、表層を修繕することなく供用し続ける使用目標年数を設定(設問2)し、表層等の路盤以下の層を保護する機能及び当該道路に求められる走行性、快適性の確保の観点から、表層の供用年数に照らし使用目標年数まで供用し続けることが可能かどうか、という視点で定期的に点検し、必要な措置を講ずる。なお、表層の供用年数が使用目標年数より早期に劣化する区間においては、措置実施後は使用目標年数以上の表層の供用
が可能となるよう、詳細調査を実施して早期劣化の要因に対応した措置を実施する。
6. アスファルト舗装の点検 6-1 損傷の進行が早い道路等(分類A、B)
(1) 点検の方法
@ 基本諸元の把握
舗装台帳や工事履歴等の情報をもとに、表層の供用年数を整理する。不明な場合は、前後の舗装の状態との比較や周辺状況から推定する。
  また、可能な限り、表層供用後の補修履歴、舗装計画交通量、舗装構成、道路交通センサス等から得られる現状の大型車交通量(方向別)をもとにした現状の舗装計画交通量区分を整理する。
A 使用目標年数の設定
管内の修繕実績や大型車交通量区分等に応じ、道路管理者が使用目標年数を適切に設定する。
B 点検頻度
5年に1回程度以上の頻度を目安として、道路管理者が適切に設定する。(設問3)
C 点検手法
各道路の特性等を踏まえ、道路管理者が適切に管理基準を設定し、目視又は機器を用いた手法など道路管理者が設定する適切な手法により舗装の状態を把握する。

【補足】
  管理基準は、ひび割れ率、わだち掘れ量、IRI (International Roughness Index:国際ラフネス指標)の3指標を使用することを基本とする。(設問1) (3指標と合わせて、その他指標や、複合指標(MCIなど)を用いることは構わない)。なお、分類Aに相当する道路では、ひび割れ率15〜20%、わだち掘れ量20〜25mm、IRI 3.5mm/mなどを、分類B以下に相当する道路では、ひび割れ率20〜40%、わだち掘れ量20〜40mm、IRI8mm/mなどを採用している事例があるので、管理基準の設定にあたって参考にするとよい。                  
参照:(舗装点検要領(平成28年10月国土交通省道路局))

【問 35】 舗装の維持修繕時の設計に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 設計CBRの設定に当たっては、既存の資料や路床の支持カを推定する方法を利用する。
 (2) コンクリート舗装の構造設計が必要な維持修繕工法には、打換え工法と表面処理工法がある。
 (3) 構造的な損傷が著しく早く発生した箇所では、実際の交通条件を確認し、疲労破壊輪数を見直した方がよい場合がある。
 (4) アスファルト舗装の代表的な構造設計方法には、残存等値換算厚による設計方法と路面たわみ量による設計方法がある。

解答と解説: 

解答--- (2)
【解説】 舗装設計便覧 5-2-2 普通道路の補修の構造設計
 (4) 設計条件の設定
  補修工法の選定、補修時の構造設計および材料の選択を行う際、適切な判断を下すために、破損状態の調査の他、必要に応じて支持力、舗装構造、舗装材料の性状、交通条件などの設計条件について定量的な把握を行う。
1) 交通条件
  交通条件の設定に当たっては、既設の舗装が現況の交通条件に対して適切な構造となっているかを判断する必要がある。舗装の破損は、新設時に設定された疲労破壊輪数以上の繰返し交通荷重あるいは過大な交通荷重が作用したために、交通荷重と舗装構造のバランスが失われることにより発生する場合も多い。特に 構造破損が著しく早く発生した箇所では過大な交通荷重の影響が考えられるので、車両重量を測定し、その測定結果にもとづいて補修の設計における疲労破壊輪数を設定した方がよい場合がある。
2) 設計CBR
設計CBRの設定に当たっては、既存の資料や路床の支持力を推定する方法を利用する。ただし路面のたわみが特に大きい場合や広範囲におよぶ全層打換えの場合は、開削調査や非破壊調査等により設計CBRを求めることが望ましい。
舗装の維持修繕ガイドブック
 3-4-5 構造設計
  舗装の維持修繕における構造設計とは、破損の状態、破損の原因および設計条件に応じた適切な補修工法を選定し、その工法に応じた舗装構造を決定することである。舗装の維持修繕においては、現状を的確に把握し、求められる性能が得られるよう対策を十分に検討することが大切であり、選定した維持修繕工法で構造設計が必要となる場合に維持修繕断面の構造設計を行うことになる。
  ここでは、既設舗装がアスファルト舗装の場合とコンクリート舗装の場合とに分け、アスファルト舗装については、構造設計の代表的な方法として残存等値換算厚(Tao)による設計と路面たわみ量による設計について記述する。
(2) 既設舗装がコンクリート舗装の場合の構造設計
 1) コンクリートによる修繕の設計
  既設舗装がコンクリート舗装の場合に構造設計が必要となる修繕工法には、打換え工法とオーバーレイ工法がある。
  既設コンクリート舗装をコンクリートで打ち換える場合には、舗装断面の構造設計は、コンクリート舗装の新設の場合に準拠して行う。
  既設のコンクリート舗装上にコンクリートでオーバーレイする工法には、既設版の挙動の影響を受けにくくするための分離層を設ける分離かさ上げ工法、既設版の上に直接オーバーレイする直接かさ上げ工法および既設版の表面をショットブラスト等で処理して新旧コンクリート版を完全に接着させる付着かさ上げ工法がある。しかしながら、これら3工法のこれまでの補修事例は少なく、構造設計方法も十分に確立されていない状況にある。
参照: (舗装設計便覧5章舗装維持修繕ガイドブック2013)

【問 36】アスファルト舗装の維持修繕工法の留意点に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) オーバーレイ工法では、必要に応じて、側溝、街渠、マンホール、ガードレールなどの嵩上げを行う。
 (2) 打換え工法では、一般に既設舗装の取壊し作業に油圧ブレーカを用いれば、圧砕機に比ベ騒音や振動を低減することが可能であり、時間当たりの施工量も多くなる。
 (3) 打換え工法では、一般に路床はできるだけ平らに掘削するように施工し、転石などでやむなく深掘りをした場合には、路盤材料で埋め戻しておくとよい。
 (4) オーバーレイ工法では、交通開放までの養生時間を短縮する場合などには、必要に応じて中温化技術を利用することもある。

解答と解説: 

解答--- (2)
【解説】 舗装施工便覧 11-3-5 施工上の留意点
(3) オーバーレイ工法
@ 必要に応じて、側溝、街渠、マンホール、ガードレールなどの嵩上げを行う。
D 交通解放までの養生時間を短縮する場合などには、必要に応じて製造時および舗設時の加熱アスファルト混合物の温度を約30℃低減させることができる中温化技術を利用することもある。
路面切断機 舗装維持修繕ガイドブック 4-3-1 打換え工法 (2) 2) 既設舗装の取壊し;
 舗装取壊し作業は特に騒音や振動が発生することから、条例等で作業許可時間等が規制されている地域があるので注意が必要である。そのため、都市部では、騒音や振動を考慮し時間当たり施工量が多く20cm以上の深厚切削が可能な路面切削機(図36-1)が汎用的に使用されている。
 一方、油圧ブレーカ(図36-2)や圧砕機(図36-3) で既設舗装の取壊しを行い、バックホウによりダンプトラックに積み込む方法も実施されているが、地下埋設物などの上では、油圧ブレーカの使用はさけた方がよい。
油圧ブレーカ

 なお、油圧ブレーカに比べ圧砕機を用いれば騒音や振動を低減することが可能であり、時間当たり施工量も多くなる。(設問(2))
参照: (舗装施工便覧11章)(舗装維持修繕ガイドブック2013 4章)

【問 37】 コンクリート舗装の維持修繕工法に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 注入工法は、コンクリート版と路盤との間にできた空隙や空洞を充填し、沈下を生じた版を押し上げて平常の位置に戻すものである。
 (2) オーバーレイ工法は、既設コンクリート版上にアスファルト混合物を舗設するか、または新しいコンクリートを打ち継ぎ、舗装の耐荷力を向上させるものである。
 (3) バーステッチ工法は、コンクリート版の厚さ方向全体に達するひび割れが発生し、荷重伝達が期待できない場合に、版あるいは路盤を含めて局部的に打ち換えるものである。
 (4) シーリング工法は、損傷した目地やコンクリート版に発生したひび割れに、注入目地材などのシール材を注入し、そこから雨水が浸入するのを防ぐものである。

解答と解説: 

解答--- (3)
【解説】 4-2-12 バーステッチ工法;
バーステッチ工法 ひび割れの生じたコンクリート版を、鉄筋等を用いて連結し、ひび割れ部の荷重伝達を確保する工法である。既設コンクリート版に発生したひび割れ部に、ひび割れと直角の方向に切り込んだカッタ溝を設け、この中に異形棒鋼やフラットバーなどの鋼材を埋設してひび割れをはさんだ両側の版を連結させる工法である。




維持修繕工法の概要

参照: (舗装維持修繕ガイドブック4章)

【問 38】 施工計画に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 都市部での掘削を伴う工事の場合は、特に電気、ガスおよび水道などの地下埋設物の保護が重要であるため、計画段階で調査を行い、その位置を図面上に記入して施工に反映する。
 (2) 発注者が道路管理者である工事の場合、受注者は道路工事等協議書(道路交通法第80条)を作成し、所轄警察署と協議する。
 (3) 使用材料の選定に当たっては、循環型社会の形成の観点から「国等による環境物品等の推進等に関する法律(グリーン購入法)」にもとづき、CO2 排出抑制に配慮した対応を行う。
 (4) 橋梁区間で、床版の勾配や不陸の状態によっては、舗装工事完了後に雨水などが滞留し、舗装の損傷に繋がることがあるので、ドレーンの設置などの排水処理を行う。

解答と解説: 

解答--- (2)
【解説】 4-2 施工過程における発注者と受注者の役割 3) 現道工事における所轄警察署との協議・調整
  発注者が道路管理者である工事の場合は、発注者が道路工事等協議書(道路交通法第80条)を作成し、所轄警察署と協議する。協議に当たっては、工事時間の短縮、工期の短縮、安全施工の観点から最善の施工方法となるように心掛ける。
  発注者が道路管理者でない場合は、受注者は道路使用許可申請書を作成し、所轄警察署の道路使用許可を受けるとともに、道路管理者から道路工事の承諾および道路占用許可(道路法第32条)を得る。
参照: (舗装設計施工指針4章)

【問 39】 再生路盤材料に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) アスファルトコンクリート再生骨材を用いたものは、旧アスファルトなどの影響により、新規路盤材料に比べて締固めによる骨材のかみ合わせ効果が期待できないことがある。
 (2) セメントコンクリート再生骨材は、ロサンゼルス試験機による粗骨材のすり減り減量試験を行う必要がある。
 (3) セメントコンクリート再生骨材は、修正CBRが比較的大きいため単独でも再生クラッシャランとして使用することができる。
 (4) アスファルトコンクリート再生骨材をセメント、石灰などで安定処理する場合、一軸圧縮強度の割増しを行う必要がある。

解答と解説: 

解答--- (4)
【解説】 表-2.4.1 下層路盤に用いる再生路盤材料の品質
〔注4〕アスファルトコンクリート再生骨材をセメント、石灰などによって安定処理する場合においても、室内データでは温度の影響が認められるが、長期にわたって硬化が進むこと、過多のセメントや石炭の添加は路盤の収縮ひび割れの原因となることなどを考慮して一軸圧縮強さの割増しは行わないこととする。
参照:(舗装再生便覧2章)

【問 40】 工程の進捗管理に用いる工程管理曲線(バナナ曲線)に関する次の記述のうち、不適当なものはどれか。
 (1) 予定工程曲線が工程管理曲線の許容限界から外れる時は、一般に不合理な工程計画であるため工程を再検討する必要がある。
 (2) 工程管理曲線が示す許容安全範図は、施工管理の基本的条件である工期、品質および経済性のすべてを満足していることが望ましい。
 (3) 予定工程曲線が許容限界内にある時は、許容限界曲線に並行な理想工程曲線よりできるだけ急勾配となるように工程を調整する必要がある。
 (4) 予定工程曲線が工程管理曲線の許容限界内で進行している場合であっても、下方限界に近づいた時は直ちに対策を実施することが望ましい。

解答と解説: 

解答--- (3)
【解説】 曲線式工程表(バナナ曲線)での進捗管理
バナナ曲線 曲線式行程表(バナナ曲線)は、出来高累計曲線とも呼ばれる。図に示すように横軸に時間、縦軸に進捗率(%)をとる。工事の進捗率は出来高の累計を指標にする。工事の初期においては準備工などが主作業のため勾配は緩く、また、終盤においては片付けなど出来高の上がらない工種が占めるため勾配は緩くなる。このため工程曲線はS字になる。作業進行をチェックするには都合がよいが、作業の手順を明記することはできない。図では予定の工程曲線を点線で、工事の進捗を実線で表して工程を管理している。この図は、アメリカのカリフォルニア道路局が実績を調査して作成した、バナナ曲線と呼ばれる工程管理曲線で、2本のS字は管理の上限、下限を示す。
  予定工程曲線が上下の許容範囲にあるときは、一般に予定工程曲線の中期の勾配が、出来るだけ緩やかになるように調整する。当然、予定工程曲線が許容限界から外れる場合は、不合理な工程計画と考えられるため、管理限界に収まるように工程を調整する。
  実績工程曲線が工程管理曲線の上方許容限界を超えた場合は、工程が進み過ぎているので、工程速度を落とす工夫をする。下方許容限界を下回った時は突貫工事にならざるを得ない。
参照: (建設エンジニアの仕事術―森北出版-)

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平成30年度 舗装施工管理技術者試験  学科試験 1級一般問題_問01〜問20
1級一般問題_問41〜問60
2級一般問題_問01〜問20
2級一般問題_問21〜問40
平成30年度 舗装施工管理技術者試験  応用試験 1級応用問題
2級応用問題